第72話 =現実のひと時=
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どちらか…もしくはどちらもが謝るのだけどあの時はそういうのを気にするデリケートな時期だったのか、外野からの冷やかしのせいでどんどん亀裂が深くなっていき中学最後の時はほとんど話さなかった。
「…そう思うと……やっぱ複雑なんだよな…」
昔のような関係は戻って嬉しい、でも関係が修復したきっかけのせいで囚われているところを見ると悔しい…その気持ちがグルグルと渦巻いている。この気持ちを解消するにはこちらにでもう一度話さないといけない、そのために今日の3時からまたあの世界で…。と、決意した瞬間扉を開く音が聞こえそちらを見ると直葉が入ってきていた。
「そういえば…ユカさんもキャラネーム本名なんだ……珍しいね」
「結構詳しいんだね。ゲームとかは疎いって思ってたけど」
思ってたというよりかはちょっとした注意みたいな感じでそう和人から聞いただけだけで、その時のことを軽く思い出しながら直葉をベッドのほうへ誘導する。
「そういえば、和人はどうあってアスナのこと紹介してた?」
「…う、うん。えっと『《血盟騎士団》副団長、《閃光》アスナだ。剣の速さと正確さでは俺も最後までかなわなかった』…って言ってくれたよ」
和人らしい説明に少しの苦笑いを顔に浮かべる。
「…だったら俺もそうやって紹介するけど…」
「うーん、普通にお願い…」
「だよね…わかった。まぁプレート見たり俺が話したりしてもう知ってると思うけど……彼女が結城悠香。隣のアスナの姉で小さい頃からの知り合いだからいわゆる俺の幼馴染。一応向こうのことも言うと同じギルド仲間で投剣を駆使して回復や攻撃で大活躍だったよ。……それでつけられた二つ名が《疾風の天使》」
「へぇ、天使…かぁ…。なんだかぴったりな感じがする」
「ちょっとしたことで怒らすと天使から魔王へとジョブチェンジするけどね」
少々騒ぎすぎて俺だけに投剣が飛んできたり酷いときには朝起きてまた二度寝しようと思うときに時々だけど同じく投剣が飛んできたり…。日常生活でそんなに使うなよって程に使ってきたことを思い出した。
「…ユカ、あいつの妹の桐ヶ谷直葉だよ」
もちろん、ベッドからは返事はするはずもなくその昔とあまり変わっていない身体を生かすための医療機器が出す無機質な機械音しか聞こえない。だがそれでも直葉は自分からユカへと声をかけてくれてそれがとても嬉しく感じた。
いつ帰ってくるのか、いつ帰らせることが出来るのかわからない今の状況よりも過酷なものをここにいる直葉は和人を見て、美菜実は俺を見て感じていたのだろうか…。もしそうならそれよりも長い間、この過酷な状況を事故だと思って耐えている人もいる…その人たちのためにも早く『ソードアート・オンライン』を終わらせないといけない。
「……待ってろ
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