第四十六話
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クルト王太子はセイジなのかハイプリーストなのか定かでは無いが、俺を殺すつもりならこのあと焼くなり感電させるなり、かまいたちでズタズタにするなりしてくるであろう……
そんな様子は微塵も見せないので黙って様子を見ることにした。
「驚かせてすまない……ただ、誰にも聞かれたくないことをお前に伝えたかったのだ」
「……でしたらミュアハさんに席を外してもらえばよかったでしょうに、いったいどうされたのです?」
彼女の言う事はしごくもっともだ。
俺の方から察してそう動くべきだったのかもしれないが、タイミングというやつを見るなら、急に席を外すのもなんだかおかしいと思うし。
何より、急にスリープで寝かすのは無いだろう、常識的に考えて。
「……ディアドラ、お前はこの里でひっそりと暮らしているからわからないだけで、このミュアハ王子、明らかに……異常なのだよ」
士官学校入学の際のレックスとの衝突、それにも関わらず逆に自分の味方にしてしまったこと、普通ならば代筆屋にでも頼む演説を即興で行ってしまったこと、それにこの年代はついつい楽しい事が目に入ればそちらにばかり目が行ってしまうというのに自己鍛練に余念が無いこと。
それよりも何よりもと彼は前置きして
「クロード神父、ひいてはエッダ教は政には極力関わらぬを是としているというに、それにも関わらず動かした。 長年行方不明の者を簡単に探り出し……それも二人もだ。……先程はなによりもまずシギュンの墓を私に弔わせた。お前や私が思い至るより先にだ。たしかに嬉しくもあったが、なぜ、そこまで何もかも見通しているかのように動くのか、私は恐ろしい。例え席を外していたとしても何もかも察知されてしまうかと思うと、直接行動の自由を奪わないと安心できなかったのだ、彼には後で詫びよう。できれば……お前にもわかってもらいたい」
「はい……」
「すまないな……お前から見て、彼はどのような御仁に見えるかな?」
「……そうですね、最初はたのもしい兵隊さんのように思いました。でも、死んだおばばが申していた先生という概念のように感じますし、優しくて親切です。もし許されるのならお友達になってもらえたら嬉しく思います」
クルト王太子の話しは聞かせてもらえばなるほどと思う、たしかにグランベルにやって来てからというもの、いろいろと不自然な無茶をやってしまったな。
原作知識や中の人の年齢に伴う経験値なんですよ!って話は、普通信じてもらえないよな……
彼の方から不審な俺に先手を打ったというわけだ。
それはそうとして、ディアドラさんの言葉は面映ゆくもあり、友達なんていくらでもどうぞと。
「悪人では無いというのは良くわかるよ、ただ……」
「お父様、ミュアハさんは神さまが遣わせて
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