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東方守勢録
第五部
第一話
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。それだけ主のことを思ってるからよ?」

「ひぐっ……そうですけど……」

「彼女の言うとおりだ。私だって紫様や橙が人質にされて…それが本当かどうかわからなくても従うさ……」

「そうよ。さ、顔をあげなさい。それこそ主に怒られちゃうわよ?」

「そう……ですよね……ぐすっ……はい……わかりました……」


そう言って早苗は軽く泣きながらも笑みをこぼした。


「俊司君……すまないが軽く外がどのような状況になっているか教えてもらってもいいかな?」

「はい」


俊司は言われた通り、自分が知っていることすべてを三人に話した。

俊司が話している間、彼女たちは終始驚いた表情をしていた。すこしづつ戦況を変え始めていること。革命軍にも協力してくれる人がいたこと。すべてを話し終えた時、約二・三時間は経過していた。


「そうだったのか……だが、これで希望がもてそうだな」

「そうですね藍しゃま!」

「はい。ですが……ここにいるからにはなにも……」

「それもそうですね……」

「きっと助けが来るわ。それまで待ちましょう」


と、それぞれが励ましあうように話していた時だった。







「里中俊司!面会だ……出ろ」







監視員がそう言いながら牢屋の鍵を開けた。
















本拠地内 面会室


「久しぶりだな。何年ぶりかな?」

「だいたい6年といったところじゃないですかね。由莉香のお父さん?」


面会室にいたのは由莉香の父親だった。

俊司にとっては小さいころから家族ぐるみでお世話になっていた人。思い出も少なくはない。だが今は敵同士ということだけはわかっていた。


「由莉香がこの軍にいたのは知ってましたが……あなたがいるなんて……」

「そうでなければ、うちの娘をこんな危ない場所には行かせていないさ」

「それもそうですね……」


上条はしかたないと言わんばかりに困った表情をしていた。俊司はそんな彼を軽くにらみつける。

だが、上条はそれにびくともせずに話を進めた。


「さて……君はいろいろと聞きたいことがあるんじゃないか?」

「はい」

「特別にいくつでも質問を聞いてやろう…さあ、遠慮なく聞きたまえ」


上条はそう言って腕をくんでいた。


「なら、どうやってこれだけの人数をここに連れてきたんですか?」

「ほう……この軍はなんなのかとかは聞かないのか?」

「日本政府が憲法を無視して勝手に作った、軍隊みたいなもんでしょう?」

「まあ……正解だな。もう少しいえばアメリカなどの国も手を加えてるがな」

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