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剣風覇伝
第三話「大鬼(トロル)」
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屋だった。
タチカゼは、死んだ兵士から剣をもらった刀ではない剣にすこし手間取ったがもうものにしている。部屋のドアに武具が入ってる鉄製の箱を乗せてこじ開けられなくした。
矢が何本も突き刺さる音がする。
タチカゼらは死の恐怖になすすべなく頭を抱えてゴブリンどもがいなくなることだけを祈った。
しかしその祈りも届かなかったようだ。
ドーンという音ともに砦が壊されていく音が聞こえる。
トロルだ、タチカゼは思った。完全に敗けた。トロルは二匹いたのだ。今出て行って群がるゴブリンたちを振り払いながらあのトロルと戦う勇気はなかった。
もう絶対絶命、タチカゼも兵士たちも砦ととも下敷きになるしかないと思った。
タチカゼはみながうつむくなか、ふと顔を上げた。
これで俺は終わるのか、戦うこともせずにこんな小部屋にこもって死ぬのか、いやだ、いやだ!
タチカゼの胸にある決意が芽生えた。この手馴れぬ剣でどれだけ戦えるか自分がどれほどの戦士か、まだ試してない。
これほどの戦闘を俺は心のどこかで待ち望んでいたはずだ。
遠い昔、読み物語に出てきた英雄のように絶対なる敵と打ち合って生死をかけた勝負を!
タチカゼは剣を構えた。
「みんな、今夜、俺たちは死ぬかもしれない、だが俺は戦って死のうと思う。みんなもこの砦を命がけ守ってきた戦士だろうと思う。もうわれわれ数人になってしまったが戦おう、雄々しく戦って敗れよう。それが戦いのなかで自分を見出すしかなかった我らの最後の生き様にしよう。みな、剣を取れ」
その部屋にいたもの、六名、めいめいが己が誇りにかけて崖っぷちの中、剣を取る。
爆発音はしだいにちかくなっている。
賭けるのはその一瞬だ。
部屋の一角が崩れた。そして外に出られる穴ができた。
六名は絶叫した。おたけびとともにその穴からゴブリンどもに襲い掛かる。
六名が死を決意した剣、ゴブリンなどに倒せる剣ではない。
襲い掛かる、ゴブリンたちを次々と倒していく。
そして眼前にトロルの巨体が現れた。
「臆するな、かかれい!」
六名は息を合わせてトロルに襲い掛かった。二人が足を切る。よろけるトロル。そこへ腹に一刺しを入れる三名、そしてタチカゼは、その三名の肩を踏み台にしてさらに跳ぶ。そして横薙ぎ一閃、トロルの喉笛を掻き切った。
「ウウウゴオオオー!」
トロルの断末魔とともにゴブリンどもは退却しはじめた。
歓喜の声を上げる六名。
それは、圧倒的弱者が絶対的強者を打ち破ったときのあの腹の底から湧きあがる勝利という名の喜びの叫びだ。
夜が明ける。六名は、砦跡の残骸の上に、トロルを二匹その下に屈服させ、無数のゴブリンの死体の上に立っていた。
朝の光は、西の谷間から金色のすじとなって六名に差し込んだ。
タチカ
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