五十一 足止め
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た。だから変化し、あたかもキバに変化した赤丸のように見せ掛けたのである。そしてキバに変化していた赤丸はというと、逃げたのではなく応援を呼びに行ったのだ。
キバと赤丸の鋭い嗅覚はカンクロウ達だけでなくシカマルとシノの匂いも突き止めていた。だから万が一の事を考え、自身に変化したままシカマル達の許へ向かうよう事前に指示しておいたのである。
「俺が仲間を見捨てるわけねえだろーが!……――【通牙】!!」
【牙通牙】よりも機動力に長ける【通牙】。高速回転による嵐がカンクロウの傍で渦を巻く。完全に不意を突かれたカンクロウの身体が吹っ飛んだ。
気を失ったカンクロウを見下ろしながら、キバは「へへっ」と得意気に鼻を擦った。だが彼は背後から響く仲間の低い声にビクリとする。
「キバくんの…」
「あ、あのなヒナタ。敵を欺くにはまず味方から、と」
「ばか―――!!」
「ぐふッ」
てっきりキバが逃げてしまったのだと思い込んでいたヒナタが涙目で柔拳を放つ。手加減しているものの、まさかの攻撃にキバの意識は暗転した。傀儡人形【黒蟻】の攻撃による傷がまだ癒えてなかった事も大きい。
キバに変化していた赤丸に促され、ヒナタの許へ向かったシカマルとシノが見た光景は、カンクロウとキバが仲良く気絶している様であった。
気まずげに視線を泳がせるヒナタを、フォローのつもりかシノが慰めにもならない言葉を送っている。そのよくわからない展開の真っ只中でシカマルは空を仰いだ。
(悪い。追いつくの、もう少し後になりそうだ)
深々と溜息をつく。ナルの瞳と同じ青い空の下で、彼はメンドクセ〜と肩を落としたのだった。
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