五十一 足止め
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どではなく、戦闘だ。一つ間違えれば死ぬ可能性もある。キバと共にナルを追い駆けて来たヒナタだったが、未だ闘いへの恐怖を克服出来ずにいた。足が竦む。
その上相手の武器は新たに増えている。傀儡人形【黒蟻】の登場により、内心彼女は物怖じしていた。
「逃げてもいいぜ?女殺す趣味は無いじゃん」
傀儡人形【鳥】と【黒蟻】を引き連れてカンクロウが言い捨てる。そしてそのまま我愛羅の後を追おうとする彼を、ヒナタは呼び止めた。震える身体を抱き締めるように、けれどきっぱりと。
「ま、待って…っ。い、行かせない…ッ」
はあ〜とあからさまにうんざりとした溜息をついて、カンクロウは振り向いた。「お前に付き合うほど俺は暇じゃないんじゃん」と軽く指先を動かす。
途端ヒナタの背後で【黒蟻】がぱかりと口を開いた。吸い込まれるように人形の腹部の中に閉じ込められる。
攻撃に特化した【鳥】に比べ、【黒蟻】は捕獲に特化しているのだ。
「暫くそこでおとなしくしてな。恨むんなら逃げた仲間を恨めよ」
全く自分を相手にしないカンクロウ。成すすべなく閉所に閉じ込められたヒナタは唇を噛み締めた。俯く。
(わ、わたしは…)
瞳を閉じる。瞼に描くのはナルの姿。ネジと真っ向から勝負し、最後まで闘った本試験。
(私は…)
観戦客から野次を飛ばされ、誰からも負けると決めつけられていた。それでも試合から逃げず、諦めなかった。
「私は」
光が届かぬ人形の内側。暗闇の中、ヒナタの震えが止まった。ナルの励ましの声が身体の奥から聞こえた気がした。
「逃げない…ッ!!」
刹那、【黒蟻】は弾け飛んだ。
驚いたカンクロウが目を見開く。内部から破壊された人形の破片がバラバラと振ってきた。
全身のチャクラ穴から一気にチャクラを放出。密閉空間内で迸ったチャクラに傀儡人形が耐え切れるわけもない。日向一族であるヒナタだからこそ実現出来たのである。
予想もしていなかった出来事に愕然とするカンクロウ。まさかあの硬い傀儡人形【黒蟻】が、こんなか弱そうな少女に壊されるとは。
呆然とするカンクロウの懐目掛け、ヒナタが一気に迫る。慌てて身構えるも、もう遅い。
パンッ、と柔拳を捻じ込まれる。ガクリと膝をつきそうになるのを耐え、カンクロウはヒナタから飛退いた。足下で倒れている赤丸の傍ら、傀儡人形【鳥】で攻撃しようと指を動かす。
しかしその瞬間、今度は隣で突然煙が立ち上った。再び驚愕の表情を浮かべるカンクロウの瞳に、キバの不敵な笑みが映る。
「これはダチに教わったやり方だぜ」
殴りかかった傀儡人形【黒蟻】の攻撃を受けたのは、キバ本人だったのだ。だが木から落ちた時、彼は予選試合で自らが騙されたナルの事を思い出し
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