五十一 足止め
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証拠だ。標的は近い、と含み笑った男達は次の瞬間、身体が強張った。
「悪いな」
目線ではなく相手そのものが一箇所に集まった瞬間を狙う。あたかも走るのに疲れているかの如く、ナル達の道筋を偽造した張本人は口元に不敵な笑みを浮かべた。再度同じ言葉を口にする。
「逃げ腰ナンバーワンのはずだったのにな。アイツに宣言した手前、そうもいかないんだ」
犬の足に似せた木の小枝をこれ見よがしに掲げる。音忍達の目を見事欺いたシカマルは、待ち伏せに見せ掛けた囮役をしっかりこなしていた。
「後で追いつくってな」
「俺らの鼻を舐めんなよ。忍犬にだって負けやしねえぜ」
吼える赤丸の隣で仁王立ちする。得意気に鼻を擦った犬塚キバは「更にこっちにゃ『白眼』まであるんだ」と後ろを振り返った。後方で控え目に佇んでいる日向ヒナタがおどおどと、だが真っ直ぐカンクロウを睨んでいる。
(二人相手か…。アレの出番もあるかもな)
鋭い嗅覚に、遠くを見通す視覚。追跡者の顔触れに納得したカンクロウは背負っていた武器を降ろした。
「揃いも揃って何もわかってねえじゃん」
冷笑する。うちはサスケが向かった先を視界に入れ、カンクロウは目を細めた。その瞳には嘲りと呆れ、そして僅かな憐れみが含まれていた。
「本当の恐怖ってヤツを知らねえんだろうなあ…お前らは」
「…なら、その恐怖とやらを教えてもらおうじゃねえか」
カンクロウの言葉を自身と闘う上での恐怖かと勘違いしたキバが、挑発に挑発で返した。
それを馬鹿にしたかのような眼差しで見下す。武器を覆う包帯端を握り締め、カンクロウは指先からチャクラ糸を伸ばした。解く。
螺旋を描く白い帯。チャクラ糸がぴんと張る。
傀儡人形を背に、彼は口元に弧を描いた。
「俺を倒し、さっきの奴を追い駆ければ嫌でも知る事になる」
その物言いは恐れを知らぬ幼子を諭すような、それでいて残忍な口調であった。
冷酷な面持ちでこちらを見るカンクロウ。背後の人形が不気味にカタカタと嗤う。
対して腰を低く落とし、身構えるキバ。キバに倣ってヒナタもまた柔拳の構えをとる。
「俺らでアイツを追い詰める。ヒナタは追い込んだところを柔拳で叩き込んでくれ」
「う、うん…。わかった」
小声で話された計画に小さく頷く。ヒナタが了承した途端、キバは印を結んだ。
「【四脚の術】!!」
駆ける。もの凄い速度で一気に向かって来たキバに、カンクロウが腕を振るった。
「甘いじゃん!」
迫り来るキバ。目前まで近づいた相手の真横で、カタカタと音が響いた。
カンクロウの傀儡人形【鳥】。手首に仕込まれていた
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