第三話
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リピリと震えた。
「これは、HEAT弾か……!」
身体の芯まで響くようなこの重い発砲音は恐らく形成炸薬弾だ。
騒音が止み、辺りは静寂に包まれる。窓から見下ろしてもメイドさんを含めて人影は見られなかった。
コンコンとノックの音が響き、返事をする間もなく扉が開く。
現れたのは一人のメイドだった。気の抜けたような顔をして何処と無く面倒くさがりのような印象を受ける。
左腕に『AFRICA』と書かれた腕章を付けていた。
「あー、あんたが式森?」
「そうだけど?」
ぞんざいな言葉を口にするメイドさんは僕の前に立つとしげしげと全身を眺めた。
「ふーん、あんたが……。ガスマスクなんかつけて、変人か?」
「余計なお世話だよ。それより、なにか用があるんじゃないの?」
「あー、そうそう。うちのご主人様が客人が不安にしているだろうから安心させてこいってよ」
「それって、さっきの騒動のこと? 銃撃の果てには戦車も出動させていたようだけど、どっかと戦ってるの?」
メイドさんは感心したような顔で口笛を吹いた。
「へぇ、意外と鋭いねあんた。そうそ、戦いも戦い、激戦さ。結構浸透されちゃったけど撃退したから、もう今日は襲ってこないだろ」
「一体どこと戦ってるんだ?」
「それについてはうちのご主人様が説明してくれるよ。あ、タバコ吸っていい?」
メイドさんは断りもせずに入室すると革張りの椅子に腰掛けポケットからタバコを取り出した。ジッポで火をつけ菓子入れのガラス皿を見つけると菓子を取り出し、ガラス皿に灰を落とした。
頬杖をついて退屈そうにあくびをしながらタバコを吸うメイドさんに目を丸くする。
「ええっとー、君ってメイドさんだよね? 何やってんの?」
「んあ? あー、悪い悪い。ちょっと休憩させてくれない? 最近仕事が忙しくてさー、炊事洗濯掃除だけならまだしも戦闘訓練が二時間も延びてやんの。何を紺詰めてんのかね。リビア以来だよこんななの」
「リビア?」
「そー。実践に勝る経験はないとか言って私の隊だけ『地雷を撤去しつつ誘拐された高校生を無傷で速やかに救出』とか。深夜に十個の対人地雷を処理してリーラ率いる第二班と戦うとか、これイジメじゃね? って思うような訓練延々とさせられるんだよ。しかも妙に設定が細かすぎるし。ストレスで生理上がったらどうすんだって話だよ。なあ?」
「はあ……」
「なに張り切ってんだか、リーラのやつ。妙に生き生きしてやがる。こっちとらクソ暑いリビアやチュニジアが終わったと思ったらすぐにフィンランドに行かされて、今度は南の島
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