第二話
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公になっているがね」
「……」
頭の痛くなる、とはまさにこのことだな。急に部屋の空気が変わったかのような錯覚に陥ったぞ。
「かつてはメイドといえばどこの名家でも雇い入れたものだが、年が経るにつれてその数は減少の一途を辿っていった。地球上からメイドが絶滅することを危惧した若者たちが立ち上げたのが、まさにこのMMMなのだ。いわば、この組織は若者たち、ひいてはメイドを愛するものたちの心の集大成であり努の実現なのだ。かのルイス・フロイスもメイドの素晴らしさを教え広めるために海を渡ったとされておる。今では会員ナンバーは六桁を刻み、いくつかの国ではNPO申請もされている」
なんというか、そこまで行くと、もはや天晴れとしか言いようがないな。スケールでかすぎ……。というか、ルイスは宣教師じゃないのか?
まあ、俺もメイドは嫌いじゃないし、むしろ好きな部類に入るが、まさかそんなガチを貫いたかのような組織が存在するとはおもわなんだ。
「この島はずっと昔に儂が父から受け継いだものでね、五年前に改造して移り住んだのだよ。ここに女性はメイドしかおらん。君もメイド空気を満喫したまえ。ここではメイド好きが避難されることはなく、むしろ誇りとなる。遠慮はいらんよ」
「はぁ……。じゃあまあ、遠慮なく。しかしまあ、随分と凝った衣装ですねー」
側に立つメイドさんの服をジーっと見つめる。仕事柄、観察は得意なので一見なんともない衣装に拵えた様々な特性を俺の目は見抜いていた。
「分かるかね!? 流石は儂が見込んだ男だ!」
何かのスイッチが入ったようで感極まったご老人が立ち上がり、傍らに佇むリーラさんを示した。
「メイド服の歴史を辿ると元はベルギーの民族衣装と言われており、イングランドに渡って世界へと羽ばたいた。その歴史の長さを裏付けするよう機能性に満ち溢れておる。
見よ、こなボリュームのある肩。衣服に余裕を持たせることで肩関節の可動域を十分に確保できるように工夫されている。ピチピチの衣服だと服が引っ張られて肩が上がらず、窓拭きで四十肩になったという報告がいくつも来ておる。そして、この引き締まったウエストにふんわり広がったスカート。これらは保温性を高めると同時に通気性にも優れておる。これで夏も冬も快適だ。そしてそして、頭部を保護するカチューシャ。素晴らしい、完璧だ!」
ご老人は一息をつくと再び腰掛ける。その目には期待の色が浮かんでいた。
「やはり儂の目に狂いはなかった。その歳でメイド服の特性を見抜くとは……。君のメイ度はかなり高いようだな。健全な生活を送っているようでなにより」
「――?」
なんだか、また聞き覚えのない単語が出てきたな
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