第二話
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髪や目の色などはまちまちだが、共通して言えることは皆若い。十代後半から二十代前半といっていい若さで皆、目を見張るような美女、美少女ばかり。その全員が身じろぎもせずに立ち俺に注目しているのだ。シャイな俺の心が少しずつ削られていく。
そんな俺の心境も知らずに、ご老人は言う。
「いや、よく来てくれた。さあこちらへ」
俺から見て一番出前のメイドさんが椅子を引いてくれた。眼鏡の似合う秘書のようなメイドさんだった。
ウェーブの掛かった金髪のメイドさんがティーカップに紅茶を注いでくれる。流れるような洗練された動きだ。
「ありがと」
「いえ……」
「もったいないお言葉です」
秘書のメイドさんは顔をうっすら朱く染めて恥ずかしそうに俯き、金髪のメイドさんは嬉しそうに微笑んだ。
ご老人の側にはリーラさんがついていた。何やら羨ましそうな顔で二人のメイドさんを見ている。
「この島には男は儂しかいなくてな、若い男は大歓迎だよ」
彼は見るからに嬉しそうな表情で言った。
「ゆっくりしていってくれ。衣食住はこちらで用意しよう」
「おお、それは助かりますね。寝る場所に困ってたから渡りに舟だ。……ところで、彼女たちは?」
チラッと横を見ると、相変わらず無動のまま静かに佇むメイドさんたちの姿がある。
「彼女たちはこの屋敷の使用人でね、儂がこの島に移り住む前から雇っていた者たちだよ」
「それにしては随分といらっしゃいますね」
「ここにいる者たちでもほんの一部だ」
「と、いうと?」
「全員で百五十はいるな」
――そんなに雇ってどうするつもりだろう?
屋敷の管理にそれほどまでの人材が必要になるのだろうか。
誇らしげに語るご老人に思わずジト目を向けてしまった。マスクで見えないだろうけど。
「言っておくが、儂のメイドたちはこれでも少ない方なのだぞ。同好の士の中には五百人ほどの明度を抱える者もいる。『月刊メイドの友』ではしばし紹介されるほどだ」
なに、その雑誌。出版社が気になるんだけど。
「若い君は知らないかもしれんが、私はMMMの会員なのだよ」
「MMM?」
どこかで聞いたことがあるな。依頼人からそんな単語を耳にしたっけ?
「一九二六年にロンドンで結成された由緒のある愛好団体だよ。その名も――『もっともっとメイドさん』だ」
「――は?」
不可思議な言葉を耳にした気がする。なんだその名称は。
「元はアングラ要素が強すぎたがために隠匿として日本語を使ったと言われている。今ではどこも
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