第二話
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ここの城主に掛け合って滞在許可が貰えるか聞いてみるか。
巨大な扉のまえに立った俺は呼び鈴代わりのひもを引く。
しばらくすると扉が開き、中から小柄な女の子が現れた。背が低く、眼鏡をかけたメイド姿のその子は大人しそうな風貌をしている。
女の子は俺の顔を見ると怪訝そうに眉をひそめた。そりゃ、ガスマスクをつけた男が目の前にいたら驚くわな。
「はい。……どちらさまですか?」
「あー、すみません。旅の者なんですが、旅の途中で襲撃にあって遭難しまして」
「襲撃……ですか?」
「ええ。まあ信じられないでしょうけど」
しかし女の子はあっ、と何かに気がついたような顔をすると安堵の吐息を溢した。
「……あなただったんですね」
「はぇ?」
「よかった……。もう一度、捜索班を出すところでした」
なにか一人で自己完結している女の子は少々お待ちくださいと言い、奥へと引っ込んでいった。頭の上にハテナマークを乱舞させて、なにがなんだか分からないまま、待つこと十分。先程の女の子とは違うメイドさんが現れた。
「お待たせしました。申し訳ございません」
「あれ? 君は……」
「先ほどは失礼いたしました。わたくし、リーラと申します」
そう、現れたのはジャングルで遭遇した銀髪のメイドさんだった。
「主人から中へお通しするように仰せつかっております。お疲れでしょうが、ご同行願えますでしょうか?」
「いいよ」
「ありがとうございます。では、ご案内いたします」
先行するメイドさん――リーラさんの後に続いて中に入った。
内部は豪奢の一言に尽きた。彫刻や美術品が所々に置かれ、著名な美術家が書いたとされる絵画が飾られている。
そして、なによりも目を引いたのが壁に立て掛けられた銃器類だった。ハンドガン、サブマシンガン、ショットガン、ライフルといった古今東西の様々な銃器がある。もしかしたら、ここの城主はガンマニアなのかも。
やがて、重厚な両扉の前にやって来た。
「こちらです。主人がお待ちしています」
リーラさんによって開かれた扉をくぐり、思わず立ち止まった。ガスマスクの中では顔が盛大に引き攣っていることだと思う。
中央に設えた長方形のテーブルの奥には初老の男性が座っていた。金色の刺繍が入ったガウンを羽織り、値の張りそうなバロック調の椅子に座っている。蝶ネクタイがこれまたよく似合い、欧州の貴族のようなご老人だ。
そして、テーブルの両サイドにはズラリと並んだメイドさんの姿があった。
三、四十人はいるだろうか。人種や背丈、
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