護堂の受難
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これは、幼い頃から祖父の陰謀によって、何度も海外で一人生活をしたことのある護堂にも理解出来た。だが・・・
(何をしようとしていただって?・・・は?起き上がったのが、そんなに悪いことだったのか!?)
その言葉の意味が理解出来ない護堂には、何の効果も無かった。魔術などとは何の関わりも無かった護堂には、先程まで、まつろわぬ神に匹敵する呪力がこの部屋に溢れかえっていた事など、知る由もない。
「あ、あの〜・・・・・・。」
取り敢えず、相手を刺激しないようにユックリと言葉を紡ぐ彼は、まくれ上がったシーツを指差し、
「と、取り敢えず、体を隠しても・・・いいでしょうか?」
十数人。それだけの数が、小さい病室にひしめき合っていた。それだけ入れば、護堂のベットに寄りかかるようになるのも必然である。しかも、一体どういう運命の巡り合わせなのか、護堂の周りを直接取り囲んでいるのは、女優かと見間違うような美女ばかり。
そんな人たちの前で下半身を露出させたままなのは・・・正直言って、彼の心を酷く傷つけていた。一刻も早くこの状況を脱しなければ、女性恐怖症になってしまうかもしれない程に。
「「「・・・・・・・・・」」」
魔術師は、特殊な魔術を使用することで、言語の習得を早くする事が可能だ。その為、ここに集う人間は皆、日本語も理解することが出来た。昂っていた心を落ち着かせて見れば、この状況が有り得ないものだと分かる。
男性陣は、護堂に同情の顔を見せ。
女性陣は、顔を赤くしながらも、彼の下半身から目を離さない。
「・・・隠せ。」
「・・・!有難う御座います!」
先程のスキンヘッドの男がボソリと呟くと、護堂は神速とも言えるような速度でシーツを引き寄せた。その目には、若干の涙が見える。
「Big・・・。」
その時、一人の女性が呟いた言葉は、意図的に聞き流して。護堂は、心で、泣いた。
「スマン。」
子供にトラウマを植え付けてしまったかもしれないと、男性陣が次々に謝罪し、それに少しだけ癒される護堂。
何とも言えないカオスな空間が、そこには存在していた。
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