護堂の受難
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くさなぎごどうは こんらん している!!!
このような文章が頭に浮かぶほど、彼は混乱していた。
眠りから覚め、体に残る鈍痛を意志の力で無視して目蓋を開ければ、そこには知らない天井が合った。自宅どころか、チェックインしたホテルの天井ですらなかった。その清潔感と圧迫感を感じさせる純白の天井と、充満する薬品の匂いで、辛うじてこの場所が病院だと理解した護堂。
しかし、場所を理解しても、どうして自分が病院などという場所で目を覚ますのか?その理由が、目覚めたばかりの頭では全く分からなかった。
(・・・ったく、病院では静かにしろよ・・・。重病人でも運ばれてきたのか?)
廊下から聞こえてくる怒声と、バタバタと響く大勢の足音。それに不快感を覚えながら、取り敢えず自分の肉体の確認をしようと考えた彼は、ユックリと体を起こした。
「・・・一体、ここは何処だ・・・?」
軽い目眩を覚えながら、やっとのことで体を起こした護堂が見たのは、眩い程の長い金髪の女性が、此方を振り返る場面であった。
「き、気がついたの!?」
バッ!!!と音がしそうな程に素早く振り返ったのは、見覚えのある女性。
(・・・そうだ、俺は確か、海岸でこの人と出会って・・・)
そこまで考えた時、彼女の視線が一箇所に固定されていることに気がつく。
「・・・・・・・・・。」
その視線を追ってみると・・・そこには、寝起きということで大きくなった、護堂のアレが・・・。
「う、ぅあ・・・!」
「き・・・キャアアアアアアアアアア!?」
護堂の羞恥の叫びは、彼女の羞恥の叫びで簡単にかき消された。顔を真っ赤にした彼女は、力を失ったようにヘナヘナと地面に座る。
それと同時に、病室の扉が勢いよく開け放たれた。そこから流れ込んでくる人、人、人。あっと言う間に病室を埋め尽くしたその人間たちは護堂を取り囲むと、槍や長剣、小型の弓などを彼に向けた。
「え、うお!?何だ!?」
その武器の輝きを見れば、それらが模造刀などではなく、真剣などのホンモノであるということが理解出来る。護堂に出来ることは、ユックリと両手を上に上げて、降参の意思を示すことだけだった。
「・・・・・・何でさ?」
様々な感情を詰め込んだ彼の言葉は、虚しく消え去った。
『一体、何をしようとしていた!?』
スキンヘッドの男性が、護堂に叫ぶ。当然、護堂にはイタリア語など分かるはずもなく、冷や汗を流し続けるだけ。
『・・・貴方は、ここで何をしようとしていたのですか?』
イタリア語が分からないのだと理解した別の女性が、今度は英語で喋りながら古めかしい古式銃を突きつけながら脅す。
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