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同士との邂逅
五 狐の道化 後編
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だったが、その息子は疎ましい存在であった。

態と聞こえるように言う陰口はもちろん、影に隠れての暴言や暴行。それは里人だけでなく一介の忍びも含まれる。特に四代目を尊敬していた忍びの多くが子どもを敵視した。


仮初めの街並みで、石が投げられ、罵声が飛び交い、泥水をかけられるのはもはや恒常。
平和という名が相応しい人々の穏やかな生活空間は、一人の子どもの犠牲によって成り立っている。
それは下学上達という名の狭き学び小屋でも、繰り広げられる日々。

アカデミーに入っても、里内と変わらぬ負の感情を金髪の子どもは一身に受けていた。
壇上にいる教員からの殺気や陰口は当たり前。里か親かアカデミー教員か、どちらにせよそれらの影響から生徒である子ども達からも虐められる。
無垢な子ども達は、過去に囚われる大人達からすでに染められていた。

そんな大人と子ども達の前で、金髪の子どもは如何にも子どもらしい快活な笑みを浮かべる。
幼稚な悪戯を仕掛け、なんにでも大袈裟に振舞い、生意気な悪戯小僧の一面。
その様は、誰が見ても力の無い子どもに見える。弱く愚鈍な人間だと、誰もが思う。
それらが全て偽りで、単なる子どもの演技だと知らずに、里人は枕を高くして眠りにつく。
寝静まった闇夜に、里の嫌われ者たる子どもが里を救っていることも知らないで。


子どもが暗部に所属していることを知っているのは、火影のみ。
孫のように可愛がるじじ馬鹿の火影は、横島を監視していた手段を使って子どもをいつも見守っていた。


アカデミーをようやく卒業した後も、里の長でありじじ馬鹿な老人は、結局子どもにとっての理解者も本当の友人も出来なかったことを憂い、更なる任務を下す。
渋い顔つきで溜息をつく子どもに申し訳なく感じながらも、同年代の護衛任務を彼らが中忍昇格するまで延長させた。
草刈りとペットの散歩におつかいレベルの荷物運び、暗殺と重役護衛に諜報と殲滅、といった極端な仕事。
二足の草鞋を履きながらも、淡々とそれらをこなす子どもの姿に、横島は(すごいギャップだな…)と感想を漏らした。







舞台は、どうやら最近の物事に発展し、この人生フィルムも終わりに近付いている。

虎視眈眈と狙う他国か、こそこそ暗躍している者達を諜報した子どもは、様々な方面に目を光らせなければならなかった。
相手の目的を知るため、中忍試験をだしにするという火影の計画に乗ったのは仕方なかったといえる。
表のドベ忍者として試験を受けるにも拘らず、警備と救護に当たる子どもは、ほぼ休み無しで動いていた。
それでも火影の判断に異を唱えず、子どもは着々と遂行していく。

精神的に追い詰める筆記試験に続いて、サバイバルという名の二次試験にて失格者が続出する。
それでも
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