暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
妖精の園
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叫び、腰から緩く湾曲した長刀を引き抜く。

「うえー、もうヤダよ」

泣き言をこぼしながらレコンも短剣を抜刀し、構える。

「向こうは五人、負けてもしょうがないけど簡単に諦めたら承知しないからね!あたしがなるべく引き付けるから、どうにか一人は落として」

「善処します………」

「たまにはイイトコ見せてね」

レコンの肩をちょんと突付くと、リーファは顔を引き締め、ダイブの姿勢を取った。

体をくるりと丸め、一回転して弾みを付けると、羽を鋭角に畳んで猛烈な勢いで急降下。くさび形のフォーメーションを組むサラマンダー達目掛けて無謀とも言える突進を敢行する。

ALO初期からの古参プレイヤーで、経験も装備も充実しているリーファ達のパーティーが惨めに敗走する破目になったのは、敵の人数もさることながら最近サラマンダー達が編み出したフォーメーション戦法のせいと言っていい。

機動力を犠牲にしてヘビーアーマーにぎっちり身を固め、逆にその重量を活かせる長槍(ランス)での突進攻撃を繰り返すのだ。水平に何本も並んだ長大な槍が、怒涛の勢いで襲い掛かってくる重圧は凄まじく、シルフの利点たる軽快性を発揮できる乱戦に持ち込むのが難しい。

だがリーファは、今日の二度の戦闘で、敵の攻撃方法の弱点をなんとなく察していた。

持ち前のクソ度胸を発揮して、敵集団の先頭の一人に狙いを定め臆することなくダイブしていく。あっという間に距離が詰まる。敵が構える銀色のランス、その先端に全神経を集中する。

キイィィ、という甲高いシルフの突進音と、ギュアァァ、という鈍い金属質なサラマンダーのそれが奏でる不協和音がみるみる高まり、とうとう二者が交差した瞬間、大気を揺るがす爆発音となって轟いた。
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