三 災厄
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った。
その笑顔が痛々しい、と無意識に感じた彼は、子どもの予測付かぬ次の行動に対処できなかった。
逃げるように、突然子どもは走り去った。
しばし呆然としていた横島は、手の中の文珠が生成できたことで我に返り、慌てて後を追い駆けようとした。
しかし、すでに子どもの姿は跡形も無く消えていた…。
椅子に腰掛けたまま、ただ彼はぼー…と天井を見上げていた。
時計の針だけが、虚しくチッチッチと時を刻む。
針の音だけする空間に、突如カタリと窓から音が割って入ってきた。
それに素早く反応して、横島はにぱっと顔を綻ばせる。
「お、やっと帰ってきたんか!この三日間どこ行ってたんだよ」
「…まだ、いたのか…」
三日間留守にしていた部屋の主が、驚愕の滲む声色で呟いた。
相変わらず狐面をつけた子どもは、横島を不可解そうに見る。
「…なぜまだココにいるんだ?金は渡しただろ」
「あ―…悪いな、勝手に使っちまって…あ、これお釣り」
当初の重さと大差ないその財布をなんの未練もなく渡す横島に対し、子どもは眉を顰めた。
「…この金はお前にやったんだ…コレを使って宿にでも泊まればよいものを…」
「…いや―ッ!!追い出さんといて〜!俺お前しか知り合いおらんのじゃ〜!!」
雄叫びと共に土下座して、床に頭をガンガンとぶつける。
「…………」
「ああ、無言!?」
子どもの無情な視線に、横島は馬鹿騒ぎをしぶしぶ止めた。この子には美神達のように誤魔化しの手が通用しないようだ。
呆れたように眉間を押さえる子どもの左腕をちらりと見て、躊躇しながらも横島は口を開いた。
「お前さ…左腕、大丈夫なのか…?」
その途端、子どもの纏う雰囲気が変わった。
「…なにを、言っている?」
先ほどと変わらず、感情の窺えない涼しげな声。
しかしどことなく緊張感が漂う子どもに、横島はできるだけ優しく言葉を紡いだ。
「お前、あの時路地裏で会った金髪の奴だろ?ほら!二日前!」
「…なんのことだ?人違いだろ」
我関せずといった風情の子どもに、横島は更に言い募る。
「嘘だろ。俺この三日間里中探したんだぜ。誰一人として金髪…あ―…薄い金髪の女の子ならいたが…とにかく金髪の男の子はいなかった。お前を除いてな」
「…この姿自体化けているとしたらどうだ?なぜ俺とそのガキを結び付ける?…それに、お前にとってそのガキは気にするものでもないだろうが」
「気になるに決まってるだろ!ありゃ虐待だぞ!大の大人がよってたかって…ッ」
「…もう一度問う。なぜ気にする。見なかったことにすればいいだけだ…それにあのガキは…この里にとって災厄だ…」
淡々と、まるで教科書を棒読みするように話す子ども。感情を全く
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