三 災厄
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かないその子に、慌てて近づく。
(こんな子どもを集団リンチかよ……ッ)
胸糞悪くなる胸を抑え、子どもが息をしているか確認する。
ゴミ箱か、その中身をぶつけられたのか、嫌な匂いがつんと鼻についた。
匂いにそしてその惨状に顔を顰める横島の前で、子どもが身じろぐ。
「……ッ…が、は…っ」
大きく息を吸った子どもは、呼吸すると共に口からごぽりと血反吐を吐いた。
「…お、おい…っ、大丈夫か…っ!?」
驚愕した横島が子どもの背中を擦ろうと手を伸ばす。
しかしそれは空振りに終わった。
「ほっとけよ、兄ちゃん」
彼の背後から聞こえてきた、第三者の介入によって。
「どーせ、すぐに怪我なんか無くなるんだ。なんせソイツは化け物だからな」
「…あ?」
横島が顔を強張らせていくのに気づかないのか、第三者―路地裏傍の店主人が子どもを見下すように話す。
「…兄ちゃんは観光客だから知らないだろーけど、このガキが暴力受けんのは罰として当然なんだよ」
その店主人の、横島に向ける愛想のいい顔と、子どもに向ける顔は一転していた。
子どもに対してはまるで――――――――…
「児童虐待が当然って言いたいのかっ、テメーは!!」
好き勝手に言う店主人の胸ぐらを掴んで、横島は捲し立てた。
――――胸が締め付けられる。
昨晩窓を割った石が胸に詰まっているような、嫌な気分だった。
怒る理由が解らないのかきょとんとする店主人に、横島はますます憤りを募らせる。
そんな彼の怒りを鎮めたのは、他ならぬその子どもの言葉だった。
「……だいじょうぶ、だってば…」
振り向いた横島の瞳に映ったのは、地に足をしっかりとつけて立っている子どもの姿。
「け、怪我とかしてないか!?本当に!?」
掴んでいた店主人を突き飛ばすように放して、横島は子どもに慌てて近づいた。
派手なオレンジの服で隠れているが、体のあちこちにある青黒い痣。
再び嫌悪感を抱きながら、なぜ文珠を生成しておかなかったのかと自身を叱咤する。
密かに文珠を生成しようと手に霊力を込めながら、横島は子どもの体をさらに観察した。
鮮やかであろう金髪はゴミのせいでくすんでいるが、蒼い瞳は凛とした強さを秘めている。その瞳の蒼を見た瞬間、彼の脳裏に疑問符が浮かんだ。
(…あれ…?)
コイツ、どこかで見たことがある…と横島は首を傾げる。
(それにこのオレンジの服も…どこだったっけ…?)
考え事をしながら子どもの左腕に触れると、違和感がした。
「おい!これ、折れてんじゃねえのか!?」
ぐにゃりとした力のない腕を横島が持ち上げようとした時、子どもが行動を起こした。
一瞬だけ。
ほんの一瞬だけ、子どもは横島に向かって健気に笑
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