二 狐面の子ども
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は命令口調で言い放った。
「……ッ、…ナル…いや暗殺戦術特殊部隊総隊長、月代に告げる。この者を監視下に置き、素性を調べろ。火影の命じゃ」
「………………………御意」
もの凄く長い間、子どもは逡巡したようだったが、諦めたように承諾の意を述べる。
老人に向かって膝をつき頭を垂れるその光景は、両者の立場の差がありありと想像できた。
しかしそれよりも先ほどの老人の言葉、特に暗殺なんたらが気に掛かっていた横島は、状況についていこうと頭を働かせ。
いつ気づいたのか、次の瞬間には子どもに手刀で昏睡させられていた。
「……俺なんかと同居なんて、お前も運が悪かったな…」
―――――――――――遠ざかる意識の中で、子どもの寂しげな声が聞こえた、気がした。
「………………………………はッ!」
次に眼を覚ますと、彼は知らない天井を見上げていた。
ぴちょん、とどこからか水の音が耳に届く。
のっそりと起き上がり、辺りを見渡すとどうやらアパートの一室のようだった。
あの子どもはいない。この部屋の主は留守のようだ。
自宅とあまり変わらないその狭さになんとなく安堵し、彼は部屋を散策し始めた。
「……なんもねえ…」
十分後、横島は寝かされていたベッドに、不貞腐れたように座り込んでいた。
この部屋は本当に寝るためだけのようだ。ベッドしかない。御約束のベッドの下も覗き込んだが、収穫無し。箪笥の中は黒一色。なぜか一着だけオレンジの派手な服があったが。
次に台所。こちらは本当に何もなかった。冷蔵庫もその役目を全く果たしておらず、ただのからっぽの箱である。調理道具はかろうじてあるようだが、一切使われていないようで新品同様。引き出しにも何もない。食材はもってのほか、食パン一枚すら見当たらない。
水道は通っているので、ぴちゃんぴちゃんと水音が部屋に沁み渡る。
殺伐とした部屋だ。痕跡があまりに少なく、本当に人が住んでいるのか疑う。
(…もしかして、監禁された?)
監視、という老人と子どものやりとりに、ひやりと背筋が凍った。
しかしなんの拘束もないのもおかしいし…と考え込んでいると、突然ベッドの傍の窓ガラスが音を立てて割れた。
何事かと慌てて見ると、握り拳ほどの石が床に転がっている。
「狐ヤローがッ!!」
「死ね!!!」
同時に、外から罵声が飛び交う。
窓の下で、しばらくぎゃあぎゃあとココに向かって複数人が喚いていたが、だんだんと遠ざかって行った。
「な…なんなんだ…一体」
いきなりの展開に頭が働かず、しばし呆然とする。窓からそっと外を覗き込むと…。
「…眼が覚めたか」
「うおうッ!!??」
なんの前触れもなく声を掛けられ、横
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