第四十四話
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気が付くと通りの端に立ちつくしていた……
約束の日が訪れたので、俺とクロード神父の二人は約束の場所へ向かった。
時間……と言っても日時計だが、それよりも早く付いたはずだ。
俺達より少し遅れて到着した彼女は恐縮したが、俺たちの方が約束より早く付いただけで……
湖畔でピクニック……なんて思うほどのどかでのんびりした光景だ。
俺は街で仕入れた素朴な菓子をふるまうと共に、まずはこの世界での故郷、レンスターのことを話しはじめた。
続けて自分の家族や大切な人たち、小さなころ人質に出された話し……などなど。
時折クロード神父が合いの手を入れてくれながら世間話を続けて行き、頃合いを見計らって本題に入った。
彼女の持っているオーラの書はおそらくシギュンさんがクルト王子から賜ったものであろう、光系の魔道書は貴重品であり、その中でもオーラはほぼ最高ランク。
そんな物を持っているというだけでも……と伝えたところ、オーラの書を持っていることを知っているという事に驚かれてしまった。
異父兄としてヴェルトマーのアルヴィス公爵が居るということも伝えておいた。
彼女は俺が何故そのような事を知ることが出来たのかを不思議がっていた。
もし、俺が同じ立場なら同じく思うだろう。
荒唐無稽な話なので信じてくれるとは思いにくいでしょうが、と、前置きをして俺は異世界人であるということ、ある手段を用いてクロード神父を始め、ごくわずかな人々には信じてもらえたことを彼女に話した。
俺が言い当てたことは彼女にとっては秘中の秘の事ばかりであったので、信じざるを得ないと言うところであろうか……
その結果、森から離れる訳には行かないが、父には会ってみたい、でもそうも行かないだろうから母の形見のサークレットを託しますと彼女は申し出てくれた。
自分は元気で生きてますって伝えたいんだろうな……
二十年近く自分をほったらかしにして! だなんて怒りださないように、あらかじめクルト王太子はあなたの存在をご存じ無いということを伝えておいてよかった。
その場でクロード神父と話し合い、クルト王太子にディアドラに会いに来てくれるよう言伝を頼み、俺はここに滞在して案内役をするというのはどうかと取り決めた。
神父様が帰国後、転移の杖で王子をマーファ城まで飛ばしてもらえばすぐだろう。
その際、俺は彼と面識はあるので案内役は果たせるはずだ。
ディアドラには手紙をしたためてもらい、それをクロード様は預かり、俺だけマーファに滞在することにして残りのメンバーは全員船でユングヴィに向かってもらうこととなった。
それからは毎日ディアドラと湖畔で会うことにした。
……伝えにくいことではあったが、少しずつロプト教団の陰謀とロプトウスを復活させるために彼らが行おうとしてい
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