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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九十六話 攻防
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るために、帝国を護るために……。
宇宙歴 795年 9月26日 第一特設艦隊旗艦 ハトホル エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
『では帝国は改革を行うというのかね』
「レムシャイド伯の言葉を信じれば、そう言う事になりますね。明日、帝国政府から発表が有るそうです」
俺がトリューニヒトの質問に答えるとシトレ、レベロ、ホアンの三人が唸り声を上げた。
そんなに驚く事かな? 十分想定できたことだろう。なんか不安になって来た、大丈夫だろうな、こいつら。
『まさか本当にこんな日が来るとは……』
レベロが呟くと残りの三人が頷いた。なるほど、考えてみればこいつらの人生は帝国との戦争が常態だった。和平を想定していても信じられない、そういう事か。分からないでもないな。
「それで、こちらは如何します」
「……」
スクリーンの四人が不得要領な表情をした。何を訊かれたかピンと来ない、そんな感じだ。四人がお互いに顔を見合わせている。端折りすぎたかな、それともこいつら、本当に分からないのか?
「帝国は同盟政府内部に和平を考えている人間が居ると知った。それに対して改革を行うという答えを返してきた。つまり自分達も和平を望んでいると答えてきたんです、それも公式に。さて、こちらは如何します」
俺の問いかけに四人が顔を顰めた。
『……改革を支持する、そう言えれば良いのだが……』
『しかし改革の詳しい内容も分からん状況ではそこまで踏み込めんだろう。第一、改革が上手く行くかどうかという問題も有る……』
『それに残念だが我々は政権の一閣僚に過ぎない。もっと早く政権を奪取するべきだったかな、機を逸したか……』
トリューニヒト、ホアン、レベロが悔やむような口調で呟いた。声を出さないシトレも渋い表情で頷いている。やれやれだな、こいつらは外交交渉が下手だ。いや、帝国が改革を行うと早々に言ってきたため冷静な判断が出来なくなっているのかもしれない。焦る必要は無いんだ。
「現時点で政権を奪取している必要は無いでしょう」
俺の言葉に皆が訝しげな表情をしている。
「外交交渉というのは野球と同じですよ。一回の表裏、二回の表裏、それぞれ得点を入れ合う。交渉はまだ始まったばかりです、改革の内容さえはっきりとは分からないんですよ、焦る必要は有りません」
四人がフムフムといった様子で頷いた。
「良い交渉というのは十対零で勝つ交渉ではありません、それでは負けた方は交渉そのものを打ち切ってしまいます。お互いに小刻みに得点をし十対十の引き分け、いやお互いに自分が十対九で勝ったと思える交渉こそが望ましいんです。その方が交渉によって解決しようという意識を長期にわたって持たせる事が出来ますし、結果的には得るものも多い」
『なるほど、その通りだな
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