アインクラッド編
踏み出す一歩
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いのに。
自分を庇ったせいなのに、守りたいと思っているのに。
今度こそ、キリトとずっといようって決意していたのに。
相変わらず、体は動いてくれない。
言うことを、全然聞いてくれない。
やはり、諦めるべきだったのだろうか。
あの時、記録結晶に残されていたキリトの言葉を聞いて、彼女も自分と同じ女の子だって。強く振る舞っているだけで、弱さを隠していただけだって分かって。
今度こそ自分もキリトの力になりたい。
そう思ったのが、間違いだったのだろうか。
自分がきちんと動けてさえいれば、こんなことにならなかったのだ。
やっぱり、自分はフィールドに出るべきではなかったのだ。
部屋の片隅で怯え、この世界が生まれてきた意味を理解できないまま・・・・・・・
わたしは〈月夜の黒猫団〉のみんなと出会えて、短い時間だけど一緒に戦えてよかった。
ありがとう。
さよなら。
またみんなが攻略組を目指すのなら、またその時に会おう。
そんな時、思い出されたのは、キリトの別れの言葉。
――――そうだ。
ぎゅっと槍を握る力を込める。
そうだ。
自分は迷ってはいたが、後悔なんて一度もしていない。
キリトと出会い、一時期とは言え一緒に戦えたこと。
たとえ、その結末としてギルド壊滅の危機、キリトとの別れがあったとしても、彼女と出会えたことを後悔したことだけはない。
もう一度、同じ選択を迫られても、絶対に彼女と出会う道を選ぶ。
だから、進んだのだ。
みんなの・・・・・・いや、自分の意志で、希望で、キリトの隣に行きたいと。
〈月夜の黒猫団〉みんなで攻略組を目指すと誓った。
今度こそキリトに守ってもらうだけにならないようにって。
いや。
それも、違う。全然、違う。そんなことが自分が本当にしたいことじゃない。
守る、とか助けるとか庇うとか。
そんなんじゃなくて。
わたしは――――もう、逃げたくない。
キリトや〈月夜の黒猫団〉のみんなやアスカの背中ばかり追いかけていたくない。
隣で、背中を合わせて、一緒に、戦いたい。
そう、願ったのだ。それだけが、自分が臨んだ唯一のこと。
なら、戦え。
いつか、ではなく、今こそ――――――――戦うべき時!!
その時サチは、自分の体を縛っていた鎖がちぎれ飛ぶ音が聞こえた気がした。
目を見開くと、狭まっていた視界が広がる。
アスカが神速の8連撃を発動しているが、それでも足りない。
ボスの攻撃はあと一歩のところまで減衰されているが、足りない。
ケイタ達もあと一挙動、足りない。
今からサチがここから全力で走ったとしても、足りない。
けど、
「まだ・・・・間に合う・・・・!!」
サチが高々と掲げた槍に綺麗な、
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