エリカ、見る
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・・・どうして、今になってこれ程の力を・・・!?」
先程話した【赤銅黒十字】所属の魔女は、『傷を治す力は、ただの副産物である』と言った。その時は確かに、この石版型神器はボンヤリとした光しか纏っていなかったし、非常にユッタリとした速度でしか護堂の体は修復されて居なかったハズなのだ。なのに何故、エリカがたった数時間寝ていただけで、ここまで状況が変わるものなのか?
廊下も騒がしくなってきている。この病院にいる人間は、全員が魔術に関係する人間だ。これほどの呪力が放たれれば、気が付かない人間などいないだろう。
「マズイわね・・・!」
この病院は、完全中立地帯だ。この病院内では、敵も味方も存在しない。因縁の相手を見つけたからといって、手を出すようなことがあってはならない。もし、この鉄の掟を破ったら最後、世界でその人間が利用出来る医療施設は無くなってしまうのだ。そして、常に刺客に狙われ続ける事になる。なにせ、【聖魔王】直々に取り決めたことなので、何人たりとも破る事は許されないのだ。
これ程の呪力を撒き散らしていては、戦闘行為をしていると勘違いされても仕方がない。今すぐ誤解を解かなければ、世界に草薙護堂とエリカ・ブランデッリの居場所は無くなってしまうだろう。
「本当は、秘密にしたかったんだけど・・・!」
神器というものは、途轍もなく貴重だ。欲する人間は、いくらでも居る。そんな人間が、護堂の持つ神器の存在を知ったらどうするだろう?
・・・彼を殺してでも奪い取ろうとする者は、間違いなく出てくるだろう。交渉で手に入れようとする者もいるだろうが、生憎、この石版型の神器は護堂専用だ。例え護堂から手に入れたとしても、彼らが使う事は出来ない。
そして、それに気がつかれたら御仕舞である。表の世界の住人である護堂を、自分たちの世界へと引き摺りこもうとするだろう。どんな手を使ってでも。
エリカは、現在の護堂の境遇に責任を感じているからこそ、彼が神器を持っているということを秘密にしておきたかった。
「・・・でも、それも無理ね。」
既に、扉の前に武装したこの病院の職員が待機している。これ程圧倒的な呪力を撒き散らすなど、まつろわぬ神やそれに準ずるナニカしか考えられない事を考えると、それも仕方がないだろう。今、エリカが出て行って、『危険はない』と訴えたところで、信じてもらえる訳がない。『ならば、この呪力の原因は何か?』と問い詰められるだろう。
「・・・ゴメン、なさいね。でも、必ず守って見せるから。」
そう呟いたエリカは、静かに椅子から立ち上がると、悠然と扉に向かって歩き始めようとした・・・のだが、
「・・・・・・一体、ここは何処だ?」
その一言で、動きを止めた。
「
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