第九十一話 ヴィンドボナの日々
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、大騒ぎになるだろう。そこでスキルニルを身代わりに立てよう」
「でもこんな子供みたいないたずら、ワクワクしますね」
カトレアも乗り気で、二人は予め用意しておいた一般市民が着るような服に着替えると、身代わりのスキルニルをそれぞれマクシミリアンとカトレアに変化させた。
「それじゃ留守番任せたぞ」
「分かっている。精々楽しんでくるんだな」
「何なら、カトレアのスキルニルとよろしくやっていても良いぞ?」
「馬鹿を言え、スキルニルにそんな機能付いていない」
「付いていないのか。ともかく任せた」
スキルニルの自分自身と軽口を交わしたマクシミリアンは、既に着替え終えたカトレアと共に窓から下へ飛び降りた
「少し遅くなるかもしれませんから、その時はフォローをお願いします」
「たっぷりと遊んできて下さい」
窓から顔を出したスキルニルのカトレアに、本物のカトレアがこれからの身代わりを労った。
国王に即位した後のマクシミリアンは、その忙しさからカトレアとのデートは一切行っていない。
何とか二人だけの時間を取りたかったが、政務は決して二人に自由な時間を与えなかった。
「そこで初めての外遊は、なにが何でも自由な時間を作るつもりだったんだよ!」
「マクシミリアンさま、なにもこんな所で仰らなくても……」
マクシミリアンは動物園への道中で熱弁し、それを間近で聞いていたカトレアは嬉しさ半分気恥ずかしさ半分の心境だった。
「良いんだよ。久々の自由だろ? カトレアは嬉しくないのか?」
「それは嬉しいですけど……」
「だったら楽しもう。ほらほら!」
マクシミリアンはカトレアの手を取ると園内を連れ回した。
宮殿近くの動物園は、普段見られないような動物が多く飼育されていて、飼い慣らされたモンスターも見ることが出来た。
二人は動物園内を見て周り、モンスターのトロル鬼が居る『トロル舎』の前までやって来た。
トロル舎は10メイル以上の巨大な壁の上から、下のトロル鬼を見下ろすような構造で、頑丈な手すりが在る為か、よっぽどの事がない限り転落する事はない。
「5メイルのトロル鬼を飼うなんて、ゲルマニア人は面白い事を考えるな」
「でも、余り元気が無いみたいですよ?」
カトレアの言うとおり、3匹いるトロル鬼は元気が無く、餌の牛の大腿骨を口でプラプラせながら地べたに座り込んでいた。
「どうしたんだろう?」
「このような狭い場所に押し込められて、気が滅入っているのではないでしょうか」
「なるほど、5メイルの巨体にこの穴は狭すぎるな」
周りをよく見ると、元気が無いのはトロル鬼だけではない。
トロル舎の他にもオーク鬼の入ったオーク舎にスキ
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