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幽霊の足
第五章
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「出ますね」
「出たり消えたりですか」
「幽霊には実体がない」
 このことが大きかった。
「その気になれば壁も通り抜けられるからな」
「だから姿も消せますか」
「そうなんですね」
「その通りだ、幽霊には足があるがだ」
 日下部は二人に話す。
「ない場合もあるのだ」
「そういうことですか」
「あるとも言えるしないとも言えるんですね」
「これでわかってくれたか」
「はい、そういうことなんですね」
「両方なんですね」
「昔の幽霊の絵では足があtった」
 日下部は二人が納得したことでこのことも話した。
「江戸時代の絵ではな、丸山応挙の絵からだと言われている」
「幽霊に足がないことはですか」
「そこからですか」
「そうなったらしい」
 丸山応挙が絵を描いている時に飲んでいた茶をその絵に零してしまい足元がぼやけてしまったがそれが風情があるということでそのままになったと言われている。幽霊に足がないのはそこからだというのだ。
「一説にはだがな」
「そういえばあれですね」
 ここでみつきはこの話を出した。
「大阪の何処かのお寺に幽霊の足跡がありますね」
「残っているな、確かに」
「それを見れば、なんですが」
「だから出したり消したりできるのだ」
 全ては実体がないからだ。
「そういうことだ」
「そうですか、つまりは」
「それでなんですね」
「これでわかってくれたな」
 日下部は二人に話をし終えたところで微笑んで言った。
「では帰るといい、まだ用があるなら別だが」
「いえ、もう特にないです」
 みつきが日下部にこう答える。
「幽霊に足があるかどうか確かめたかっただけですから」
「そういうことだな。ではだ」
「はい、お付き合い頂き有り難うございました」
「お疲れ様でした」
 二人は日下部に頭を下げて礼と別れの挨拶を述べた、日下部は微かに微笑んで海軍の肘を畳んだ敬礼で返した。
 二人は真相がわかった、そうしてだった。
 次の日の放課後八条神社の前に赴きそれで話をした。
「引き分けっていうかな」
「どっちでもあったわね」
「ああ、そうだよな」
 裕貴はみつきにこう返した。二人は今も制服姿だ。
「じゃあこの場合どうするんだ?」
「私が勝った訳でもないし貴方が勝った訳でもないわね」
「だよな。じゃあこの場合は」
「お互いが買う?」
 これがみつきの提案だった。
「たこ焼きもいか焼きもね。二人で買って」
「二人で食うっていうんだな」
「勿論ビールに焼酎も買ってね」
 酒も忘れない。
「そうする?」
「じゃあそうするか?お互いに買ってな」
「そうしましょう。どっちがって訳でもないし」
「じゃあ二人で飲むか」
「そういうことでね」 
 みつきは微笑んで裕貴に述べた。そう
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