第四章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
「あっ、駅に猫がいるのか」
「可愛いじゃない」
皆猫を見て笑顔になります。
「やっぱり猫っていいよな」
「見ていたら和むのよね」
「いや、何でもない駅だけれど猫がいるだけで違うな」
「まるで別の駅みたいよ」
「にゃあ」
猫は手を差し伸べてくるお客さん達にも顔を向けます。やがてお客さん達も猫を見て楽しむ様になりました。そして。
このことをお客さんの一人がネットで画像付きで紹介して全国的な話題になりました、そうしてなのでした。
駅に来る人は増えました、奈良県からだけでなく他の府県からも来て猫を見ます、ネットでも話題になっています。
新人さんはプラットホームで遊ぶ猫とお客さん達を見て駅長さんと若い駅員さんに対してこう言いました。
「あの、何か」
「うん、変わったね」
「お客さん多くなったよな」
「電車の数は変わらないですけれど」
やって来るお客さんが増えたのです。
「お客さんは増えましたね」
「皆猫が好きなんだよ」
駅長さんは優しい笑顔で答えました。
「それでなんだよ」
「だからですね」
「そうだよ。これもいいことだよ」
「そうですね。それにもう今は」
新人さんは猫、お客さん達に喉を触られているその猫を見ながら言います。
「完全にこの駅に居つきましたから」
「トイレも事務室にあるしな」
若い駅員さんが笑って言います。
「本当に駅に居ついたよな」
「そうですよね。何か猫がいるだけで」
「本当に変わったよ」
何もない駅がです。
「和やかで楽しい場所になったよ」
「そうですよね」
「じゃあお客さん達が帰ったらな」
「御飯ですね」
「それ出そうな」
若い駅員さんはこのことも言いました。
「そうしような」
「はい、じゃあ用意しておきますね」
「そうしてくれよ。僕はミルクを用意しておくからな」
猫用のミルクです、お水から変わっています。
「それじゃあな」
「はい、それじゃあ」
「猫は凄いね」
駅長さんがまた笑顔で言いました。
「いるとそれだけで何もかもを変えるんだから」
「それもよく、ですね」
「うん、和ませてくれるよ」
「癒しなんですね、猫は」
「そう、人を癒してくれるんだよ」
ただいるだけでいるというのです。
「私もここでずっと退屈だったけれど」
「それがですね」
「今はここにいるのが楽しいよ」
それも猫がいるからだというのです。
「とてもね」
「そうですよね、僕もです」
「僕もですよ」
新人さんも若い駅員さんもにこりとして答えます。
「猫がいるだけなのに」
「それだけなのに」
「本当に随分違いますね」
「全く別の場所になってますね」
「うん、何か増えてるし」
猫はその猫だけではありませんでした、今駅には他の猫
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ