暁 〜小説投稿サイト〜
気合と根性で生きる者
第一話 箱庭召喚!
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筆でそう書かれていた。これは疑いようもなく、僕に対する手紙だった。

 ここで無視してダストポイをするのもありだが、生憎そこまでの勇気は持ち合わせていない。もし、重要な手紙だった場合に「無視して捨てて、読んでいませんでした」などという事態になれば、非常に不味い状況になるのは目に見えている。

 手紙のサイズや厚さからして、恐らく朗読するのにそこまでの時間は要さないだろう。そう思い、彼は手紙の封を開けて中を拝見することにした。










『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる
 その才能を試すことを望むのならば、
 己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、
 我らの箱庭≠ノ来られたし』










「――って、何処だよ此処!?」

 それは、手紙を読み切って瞬きをした次の瞬間の出来事だった。先ほどまで自宅に居た勝は、何故だか見知らぬ土地の空中へと放り出されていたのだ。

 勝はすぐに状況の判断をするために周りを見渡す。

視線の先には、地平線と誰が言っていたのかは分からないが、存在しない筈の世界の果てであろう断崖絶壁。

 眼下には、数々の巨大な天幕で覆われた、それこそ大陸以上の広さを誇るかもしれない超大型都市。

 彼の目の前に広がるのは、完全無欠の異世界だった。

「――もしかして、これってチュートリアルから死亡フラグの立つ鬼畜ゲーなわけですか?」

 思わずそんな言葉を発してしまうが、余裕があるという訳ではない。伊達に飛行機の墜落事故で無人島に着いてサバイバルをする、などという想定をした人生を送っていない為、スカイダイビングの経験はあるのだが、体感だけでも高度はおよそ4000mなどという着地した瞬間に人生がゲームオーバーする高さ。着地したが最後、恐らく自由落下で潰れたザクロの如き姿になるだろう。

 真下には湖があるのだが、この高度ではクッション代わりになどならない。逆に、今の速度で水面に落ちればそれはコンクリートの如き硬さだろう。

「――うん、無理。チュートリアルから回避不可能な死亡イベントとか、対処出来る訳ないだろコンチクショウ」

 これは死亡フラグではなく、死亡イベント。そうと決まれば腹を括るのが一番なのだが――生憎、気合と根性だけで生きてきた彼にとって、これもその領域で何とか出来る範囲だと考えたのか、突然、着用していた冬用のダボダボの部屋着を脱ぎ始めてそれを腕力で引き裂き、ギリギリまで伸ばし、正方形の形にしたかと思うとその両端を持ち、パラシュートの様にして穏やかな着地を試みたのだが――

 ――ビチッ、ビリィ!

 その落下速度と風圧に耐えきれなかったのか、難無く真っ二つに破れてしまった。

「・・・・・・ごめ
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