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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-09裏切りと憎しみと
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呟きが聞こえていない、ふたつのものは、笑顔で迎え入れる。

 ふたつの顔が、人の良さそうな()みが、邪悪に(ゆが)むと見えた刹那(せつな)


 無表情で(あゆ)()っていた少女が、表情を変えぬまま、抜刀(ばっとう)して()りつけた。

 斬られたものが絶叫(ぜっきょう)し、マーニャの姿を(うしな)い、(みにく)本性(ほんしょう)(あらわ)す。
 まだミネアの姿を借りたままのものが、動揺(どうよう)し、叫ぶ。

「な!なぜ、わかった!」
「うるさい。その顔で、しゃべらないで。」

 ()(ざま)、こちらも斬りつける。
 ミネアの姿も失われ、二体の魔物が、血を流しながら、少女に向き合う。

「くそっ!予定は狂ったが、同じことだ!このまま、地獄に落としてやる!」
「どうでもいい。あなたたち、ゆるさない。」

 憎しみの暗い炎に心を()めた少女は、しかし怒りに(われ)を忘れることなく、最善の行動を選択する。

 複数を相手(あいて)()るときは、まず数を減らす。
 傷が重いのは、先に斬ったほう。
 マーニャの姿だった、もの。
 多少傷を受けても回復できる、防御(ぼうぎょ)よりも、まずは、攻撃。

 反撃を(いと)わず、斬る。

 少女は表情を失ったまま、機械的に、ひたすら魔物を斬り続ける。
 反撃を受けるが、まだ死ぬほどではない。

 あとで、治せばいい。
 これを、殺してから。

 魔物の一体が、絶命(ぜつめい)する。
 一旦、距離を取り、(とな)える。

「……ホイミ」

 体力が回復する。
 傷は残っているが、戦うには十分。

 これで、死なない。
 これを、殺すまで。

 ふたたび、少女は斬る。


 作業的に(きざ)まれ続け、魔物は倒れた。

 自分の身体(からだ)を、見る。

 傷だらけだが、自分の魔力は多くない。
 当面(とうめん)戦える、体力だけ戻ればいい。

「……ホイミ」

 体力を回復する。

 体力が戻ったことを確認し、歩き出す。

(……マーニャ。ミネア。)

 暗い心を(いだ)き、光を求めて、歩き出す。



 一方、穴に消えた兄弟は。

「……ってーな……。なんだよ、ありゃ。」
「落とし穴だね。」
「んなこたわかってんだよ。なんであんなもんがあって、なんで真ん中にいた嬢ちゃんだけ、落ちなかったかってことだ」
「わかってるよ。仲間と分断(ぶんだん)される洞窟で、友達に裏切られた、か。少し、見えてきたね」
「あ?何がだ?」
「たぶん、友達が裏切ったわけじゃないってこと」
「なんで、そうなんだよ」
確証(かくしょう)はないよ。とにかく
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