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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-09裏切りと憎しみと
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った。わたしがもっと、ミネアよりも強くなって、洞窟にも慣れたら。そしたら、前に出るね」
「そのときは、よろしくお願いします」
「今は、とりあえず。オレらから、離れんなよ」
「うん、わかった」


 周囲を警戒しながら進むが、魔物の姿も、気配(けはい)もない。

「なんもいねえな」
「まだ入口じゃないか。油断は禁物(きんもつ)だよ」
「わかってる、よッ!?」
「うわっ!?」
「えっ?」

 突然、兄弟の足元に穴が()き、(あいだ)に挟まれていた少女を残して、ふたりの姿が消える。

 穴はすぐに閉じ、元の異常の見られない(ゆか)に戻る。

「マーニャ!ミネア!……たいへん!」

 少女はすぐさま床を調べ、穴が(ひら)かないことを確認すると、洞窟の奥に向かい走り出す。

(マーニャ……ミネア……!)

 また、(うしな)ってしまうのか。

(大丈夫、ふたりは強いんだから)

 強かったはずの村人たちは、いなくなってしまった。

(また、わたしだけおいて)

 階段を見つけて、駆け()りる。

(ううん、あのときとはちがう。ふたりは、おいていこうとした、わけじゃない)

 警戒も忘れ、一心(いっしん)に走る。

 道の先にふたりの後ろ姿を認め、叫ぶ。

「マーニャ!ミネア!」

 ふたりが振り返り、(こた)える。

「ああ、良かった!助けにきてくれたんだな!」
「……マーニャ?」

 感じる違和感(いわかん)に、足が()まる。

(たすけ、る?わたし、が?マーニャ、を?)

「私たちは、あなたのことを探して、ずっと待ってたんですよ。」
「……ミネア?」

(まって、た?ふたりが、わたしを?わたしのほうが、弱い、のに?)

 (あと)退(ずさ)る。

「どうした?早く、こっちに来いよ。」
「さあ、早く。」

 後退りを()めず、ふたりを見つめる。

 マーニャの明るさも、ミネアの(おだ)やかさも、感じない。
 代わりに感じる、邪悪な気配。

 マーニャとミネアが、似ているけれど、似ていないと思った。
 その比ではない、似ても似つかない、姿を借りただけのもの。
 美貌(びぼう)の兄弟の姿を借りる、醜悪(しゅうあく)な、なにか。

 借り物の、姿。

(……シンシア)

 自分の()()わりになった、大事な人を思わせる行動で。
 大事な人たちに、()()まそうとする、もの。

 自分を(だま)して、近付こうとする、もの。

 あの、男のように。


 口の中で、小さく呟く。

「……ゆるさない」

 後退りを止め、ふたつのものの元に歩き出す。
 少女の
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