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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-08広がる世界
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 木こりが木を切り終えて小屋に戻り、起きていたミネアが手伝いを申し出るのを怒鳴りつけてひとりで朝食の支度(したく)を始め、少女が素振りを終えて小屋に戻る頃、ミネアに起こされたマーニャが起き出す。

 起こされはしたが、普段よりよく寝たマーニャの、目覚めは良い。

「あー。久々、よく寝たぜ」
「いつも、早く寝ればいいのに」
「んな勿体(もったい)ねえことできるかよ」
「意味がわからないよ」

 マーニャとミネアが軽口を交わすのを聞きながら、少女と木こりは黙々(もくもく)と食事を()る。


 食事を終え、準備を整えて旅立つ三人を、木こりが見送る。

「おっさん。世話になったな」
「ご親切に、ありがとうございました」
「……ありがとう」
「だっ!誰が!」

 反射的に怒鳴り返した木こりが、途中で口を(つぐ)む。
 拳を握りしめ、顔に()()に血を(のぼ)らせ、ぷるぷると震えながら、()(しぼ)るように()()てる。

「……また。来やがれ!」

 マーニャが苦笑する。

「ま、おっさんにしちゃ上出来(じょうでき)だな。んじゃ、またな」
「それでは、またいずれ」
「……うん。また。」


 マーニャのルーラで、ブランカに飛ぶ。

「んじゃ、行くか」
「待った。昨日はすぐに木こりさんのところに行ったから、砂漠(さばく)()えの準備ができていないんだ。少し、買い物してから行こう」

 ブランカの城下町で必要なものを買い揃え、町を出る。

 昨日と同じように、少女が中心になって魔物を倒しながら、東へ向かう。
 町から遠ざかり、魔物はやや()(ごわ)さを増していくが、昨日よりもさらに少し鋭さを増したような少女に、危なげはない。


 ほどなく、砂漠の入口に(たたず)宿(やど)()いた。

「……まだ、入口だってのに。結構な暑さだな」
「馬車でもないと、とても砂漠は越えられないと言うからね。ちょうど馬車があるようだし、借りられないか、交渉してみよう」
「だな。なんとか越えちまえば、後でルーラで返しに来りゃいいしな」

 宿の近くに()めてある馬車に目をやり、話し合う兄弟につられ、少女も馬車を見る。

(これが、馬車。これが、馬。)

 どちらも見るのは初めてだが、昨日読んだ物語に、人が乗る馬車と、それを引く馬のことは書いてあった。

 飼い慣れされた動物を見るのは、木こりの小屋の犬に続いて、二度目。
 身体はこちらのほうがずっと大きいが、(さか)んにじゃれついてきた犬よりも、おとなしいように見える。

 少女が、馬に近づく。

「おい、嬢ちゃん。後ろには、回り込むなよ」
()られてし
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