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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-08広がる世界
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。ガキが遠慮なんかすんな」
「うん。ありがとう」

 離れたところでおひねりを集めていたミネアも拾い終え、近付いて来る。

「兄さん、お疲れ様」
「疲れたってほどでもねえな。時間がありゃ、もう一曲くらいやっても良かったが」
「そうだ、さっきの話」
「おう。今夜の宿(やど)が決まった。行くぞ」
「そんな話になったのか」
「なかなか、面白(おもしれ)えおっさんだったが。ガキにわかれったって、無理だわな」
「宿屋さんに行くの?」
「似たようなもんだな。ただ、この町じゃねえ。ルーラで行くぞ」
「うん」



 マーニャのルーラで、木こりの家に飛ぶ。

「……ここ。」
「大丈夫だ。ルーラで来たろ?先に聞いてある。嬢ちゃんも、泊まってけってよ」
「……ほんとに?」
「オレは、嘘はつかねえ」
「だって、嫌いって」
「世の中にはな、素直じゃねえ奴ってのがいるんだ。そういうのは、思ってもねえことを、口に出しちまうもんだ」
「そう、なの?」
「口は悪いが、親切だったろ?」
「……うん」
「よし。じゃ、入るぞ。覚えとけよ、あのおっさんは、素直じゃねえ。何を言われたかより、何をされたかで、考えろ」
「うん。わかった」


「よう、おっさん。来たぜ」

 マーニャを先頭に、木こりの小屋に入る。
 少女は、マーニャの背後に隠れるようにして、ミネアに背中を軽く押されながら、後に続く。

 小屋の中には、四人分の食事と()(どこ)の準備が整えられていた。
 落ち着かない様子で室内を歩き回っていた木こりが、ぴたりと立ち止まり、油の切れた機械のようなぎこちない動きで、三人のほうを見る。

 少女が身を(ちぢ)め、ますますマーニャの後ろに隠れる。

 木こりは何かを(こら)えてでもいるかのように、ぷるぷると震え、顔が徐々に赤くなっていく。

 木こりが、投げつけるように叫ぶ。

「ま、また!てめえか!」

 少女がびくりと(ふる)える。

 マーニャが(あき)れたように言う。

「おい、おっさん。せっかく連れてきたのによ。追い出してえのかよ」

 木こりが少女に、(にら)み付けるような鋭い視線を向ける。

 少女は(ちぢ)こまったまま、(うつむ)く。

(やっぱり、嫌われてる)

 木こりが、()()る。

「てっ!てめえみてえな、嬢ちゃんは!ひと晩、泊まって行きやがれ!」

 少女が(はじ)かれたように顔を上げる。
 木こりは()(ばや)く、顔を(そむ)ける。

(嫌い、なのに?泊まって、いいの?)

 顔を背ける木こりの、横顔を見つめる。
 耳まで、赤く()まっている。

 室内を、見回す。
 三人を迎(む
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