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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-03踏み出す少女
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 先ほどとは違う兵士を見つけ、声をかける。

「あの。すみません」
「どうした。ここは、子供の遊び場じゃないぞ。」
「王様に、会いたいの。」
「王様なら、この上におられるが。」
「行ってもいい?」
「構わないが、失礼の無いようにな。」
「うん……はい。」

 階段を上がる。

(王様は、偉い人。偉い人と話すときは、言葉に気を付ける。師匠や老師と、ちゃんと話すときみたいに。)


 上がった先、謁見(えっけん)()には、国王と姫が並び、大臣と兵士が控えている。

(いっぱい、人がいる。一番立派な服の人が、王様?)

 旅に必要な作法(さほう)として、村で教わっていた通りに、国王の前に(ひざまず)く。
 国王の声がかかる。

「よくぞ来た!勇者を目指す者よ!」

(勇者は、目指してないけど。なってしまってたら、どうすればいいんだろう)

「そなたもまた、世界を救うため、旅をしているのであろう!」

(世界のことは、わからないけど。あのひとを殺すなら、きっと同じこと)

「はい」
「名は、なんと申すのじゃ。」
「……ユウ、と」
「うむ、良い名前じゃな。ではユウよ。そなたがするべきことを、教えて(しん)ぜよう!」
「はい」
「地獄の帝王が(よみがえ)るのを、なんとしてでも()めるのだ!」

(地獄の帝王。止める。まだ、蘇ってない?あのひとと、関係ある?)

「そなたのような、若い娘には(つら)いことかもしれぬが。気を付けて行くのじゃぞ、ユウよ!」

 大臣が呟く。

「本当に、若いというか、いっそ幼いのう……。そなたは、昨日の四人連れの、仲間ではないのか。」
「ちがいます」
「ひとり旅か。大丈夫なのか。余計なことかもしれんが、旅はまだ、早いのではないか。」
「大丈夫です。わたしは、旅をしないといけないんです。」

 国王が口を挟む。

「やめよ、大臣。ユウにも、事情があるのじゃろう。この若さで、世界の()(すえ)(うれ)い、旅をしようとは、まことに天晴(あっぱ)れ。(こころよ)く、送り出そうではないか。それが、どのように手を尽くそうとも、結局は()して待つしか出来ぬ我々の、(つと)めというもの。繰り返すがユウよ。気を付けて行くのじゃぞ!」
「はい。お言葉を、ありがとうございます。では、わたしは行きます。」

 謁見の間を出る。

 自分よりも幼い少女の旅立ちを、姫も心配そうに見送るが、少女は気付かない。


 この城での話は十分聞いたと判断し、少女はエンドールを目指し、町を出て西に向かう。

 西に向かう道は平原(へいげん)で、ブランカを目指して山を、森を抜けたときとは違い、楽に歩ける。
 慣れない
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