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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-01山奥の少女
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。ユウ、また明日な。」

 言いながら、男は少女を若者に押し付ける。

「あっ、ちょっと師匠!」
「ありがとうございました!また、明日!」
「……まったく。仕方ないな」

 まだぶつぶつ言いながらも、若者は少女に回復呪文を唱える。

 回復した少女が若者の手を離れ、地面に降り立つ。

「ありがと、シンシア」
「あんまり、心配させないでくれよ」
「みんなは、わたしが強くなると、喜ぶのに。シンシアは、あんまり嬉しそうじゃないね」
「……心配、してるんだよ。」
「シンシアは、わたしが強くならないほうが、いいの?」
「そうじゃないけど。……強さなんて、必要なければいいと思うよ」
「……?よく、わからない」
「いいんだ、わからなくて。ユウ、僕たち、このまま、いつまでも一緒にいられたらいいのにな……」
「そうだね。わたしが村のみんなより強くなったら、村を出て旅に出るんだって。シンシアも、一緒に行こうね」
「ああ。そうだね……」


 シンシアと別れ、少女は帰宅する。

「ただいま。おとうさん、おかあさん」

 家では、少女の両親としては、(いささ)年配(ねんぱい)の夫婦が出迎える。

「お帰り、ユウ。今日も遅かったね。」
「お(なか)が空いただろう。早く、手を洗ってお座り。」
「うん。今日もまた、師匠に勝てなくて。いっぱい動いて、お腹空いた」
「だいぶ、動きが良くなってきてるそうじゃないかい。」
「でも、勝てないんだもん。ほんとかなあ」
「あの人は、お()()は言わないよ。大丈夫、強くなってるよ。」
「うん。わたし、もっと強くなって、早く旅に出られるようになるね。」

「まだまだ、子供なんだから。ずっと先の話だよ。」
「そうだよ、そんなに(さび)しいことを言わないで。まだまだ一緒に、暮らすんだから。」
「そうなんだ。でも頑張って、強くなるからね。」


 翌朝、日課(にっか)の走り込みと()()りを済ませ、朝食を()った少女は、家を出て、魔法を教える老人の元に向かう。

「老師!おはようございます!」
「うむ、今日も早いの。今日は、ライデインの呪文を教えてしんぜよう!」
「老師。いろいろ教えてもらってるのに、わたし、まだニフラムしか使えないよ。老師もシンシアも、たくさん魔法が使えるのに。わたしほんとに、使えるようになるのかな?」
「うむ。魔法を使うには、素質(そしつ)と知識の他に、魔力が必要じゃ。お前はまだ魔力は低いが、強力な魔法を使えるようになる素質を持っておる。地道(じみち)に魔力を増やす修業をすること、いずれ魔力が上がった時に備えて、知識を増やすことが肝要(かんよう)じゃ。魔道(まどう)は、一日にして()らずじゃて。」
「うん、わかった
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