第1話 遭遇
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たからだ!
可能な限りは君が自由になれる時間も作る!
軽い旅行くらいなら出切る筈だ、私はもう彼女達のあんな顔は見たくないのだよ! だから頼む!」
とうとう地に額まで着け、高木は言った。
「彼女達の笑顔を守ってくれ! 五代雄介君!」
静寂が、辺りを支配した。
先ほどまでの喧騒が嘘の様な静けさだった。
やがて、耳の痛む様な静寂を破ったのは一つの足音。
五代が高木に近づく音だった。
「顔、上げて下さい。高木さん」
目線を合わせるためかしゃがみこみ、高木の肩に手をかけた。
そして顔を上げた高木の目に飛び込んできたのは、力強く突き出された五代の親指だった。
「んん? 何だね、それは?」
「これ、自分の行いに納得している者だけが取っていいポーズだって神崎先生に教わったんです。
だから俺、いつもこのポーズをしてたい。中途半端はしたくないんです」
中途半端はしない。
それは、一度言った事に対してのみではない。
笑顔を守る事に、過去の誓いに。
そして、他人と関わる事に対してだった。
自分で持っていたこの持論も、五代は大切にしてきた。
そして話を聞いた時点で、五代は彼に関わっていると考えているのだ。
それに、彼がアイドルの話をした時の苦しそうな表情を、五代は見逃しては居ない。
ならば、半端な真似はしない。
アイドルと高木の笑顔を守り、最後まで関わる。
それが彼の決めた事だった。
「おお! では」
「はい。俺、決めました!
高木さんもアイドルの子達も皆に笑顔で居てほしい・・・・・だから」
多分何度問われても、彼はこの道を選ぶ。
大好きな冒険を我慢してでも。
大好きな人間の汚いところを見せ付けられて辛い目に会おうとも。
皆の笑顔を守りたいから――だから。だからこそ。
出てくる言葉は、”あの時”と似た物だった
「見てて下さい。俺の・・・・・・プロデュース」
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