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ロミオとジュリエット
第三幕その二
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慢な殿方だけだ」
 ここで何を思ったのか剣を鞘ごと身体の前に持ってきた。そしてギターのようにして持つ。
「白いキジバトさん、禿鷹の巣は暮らしやすいかい?何故かあんなのを親に持った貴女の不幸は同情するけれど」
 ジュリエットのことを歌っている。
「けれど禿鷹は偏屈で貴女を放そうとはしない。哀れ姫君は暴君の虜」
 キャブレット卿を揶揄もしている。
「何時か逃げて自由を見つけられるかな。けれどキャブレットの手下達は執拗で貴女を放しはしないだろうね。けれど逃げないと何時までも虜のまま。さあ、どうしたものか」
 歌は波に乗ってきてステファノも上機嫌になってきた。
「夜の星の中に隠れて愛の女神に助けを乞えばいい。禿鷹には恋なんてわかりはしない。あんな頑固親父には剣の傷が一番似合うのさ」
「何だ、あいつは」
 その歌を聴いてグレゴリオが門から出て来た。兵士達も後ろにいる。
「おや、これはこれは」
 ステファノは彼等に気付いて恭しい様子で滑稽な一礼をする。
「キャブレット家の皆様方。御機嫌麗しゅう」
「モンタギュー家の者だな」
「如何にも」
 ステファノはそれを隠そうともしない。
「だとすればどうされるのですか?」
「さっきの歌は何だ」
 グレゴリオは彼に問う。
「我々を馬鹿にしているのか?キャブレット様を」
「おや」
 ステファノはその言葉にシニカルな笑みで応えた。

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