第十四話「チーム戦」
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数分しか扱えないのではないだろうか。
しかも、これは仮の姿であり、真の姿はバスターソードのような巨大な剣だ。一度その形態を取ってみたのだが、その時の疲労感は今の比ではなかった。一瞬、くらっと眩暈に襲われるほどで、それだけでどれ程の神威を消費するかが窺える。
今の俺の神威保有量は正確な値は分からないが、他の人と比べて飛び抜けて高いのは確かだ。そんな俺でも、仮の精霊魔装を維持する限界時間が一週間だ。そして、真の姿だと一日が限度となる。これには俺も驚いたものだ。
――っと、そんなことより、今は試合に集中しないと……。
見れば、既にクレアは目標を捕捉していた。俊敏に木々の間を縫うように移動しながら放たれる雷光弾を躱し、精霊魔装――炎の鞭を解き放つ。
鋭い切り裂き音とともに赤い軌跡が空間を踊り、辺りの木々を難なく切り裂いた。
遮蔽物がなくなり雷精霊使いが姿を現す。
前髪で目元を被った、少し影のある女の子だ。傍らに浮遊する低級精霊を従えて慌てた様子で森の中へと走る。
「逃がさないわ! 接近を許した狙撃手なんて、包丁を持たない料理人と一緒よ。追って、スカーレット!」
クレアの声に虚空から火猫が出現する。炎を巻き上げて顕現した炎精霊のスカーレットは雷精霊使いに襲いかかった。
本来なら骨すら残さず焼却する炎は生徒の身を焦がすことは無い。ここは元素精霊界のため、身体的ダメージは精神的なダメージに変換されるからだ。
雷精霊使いの女生徒は目晦ましに精霊魔術を駆使して森の中へと逃げていく。
「待ちなさい!」
それを追ってクレアが木々から降り立ち地面を駆ける。その後を追随しながらクレアの背中に声を掛けた。
「跳べ、クレア!」
上空に跳び上がるクレア。間髪入れず神威を注いだエストを振り下ろした。煌めく白銀の斬光が直進上の地面を抉る。
「なっ!?」
地中から無数の突起がついた甲殻鎧が飛び出した。
全身を覆う鎧タイプの精霊は白銀の斬撃によって甲冑を粉々に砕かれ吹き飛ぶ。契約者である甲殻精霊使いの息を呑む声が聞こえた。
「そこっ!」
木の枝を蹴ってクレアが森の中へと踊り掛かる。待ち伏せをしていた甲殻精霊使いは一閃する炎の鞭の下に意識を断たれた。
「よくやった。これで三人目だな」
「さすがはアタシね! ま、まあリシャルトもよくやったわね。褒めてあげるわ」
「それは光栄。だがまだ二人いる。油断せずに行こう」
「ええ!」
元素精霊界の森は静寂に包まれていた。しんとした静けさが辺りを支配している。
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