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失われし記憶、追憶の日々【精霊使いの剣舞編】
第十四話「チーム戦」
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はおかしいぞ!」


 だんだんと近づいてくる唇。俺も健全な男子だし、生前からエストの事は気に入っていた。ここまで気を許してくれて嬉しくないはずがない。正直な気持ちでもある。だが――、


「目を瞑ってください、ご主人様」


 一気に近づいてくる唇。吐息が掛かる距離にまで迫ってきた。俺は――


「――ふんっ」


「……っ!」


 唇が触れそうになった寸前でエストの頭にチョップを食らわせる。痛みで悶絶する剣精霊を見下ろし、一言。


「座りなさい」


「リシャルト、なにをするんですか……? 痛いです」


「座りなさい」


「……了解しました」


 再び正座をするエスト。俺も向き合う形で正座をして、


「リシャルト、今日はチーム対抗戦よ! 気合を入れて――なにをやってるの?」


 扉を勢いよく開け放って赤い髪の女の子が乱入してきた。ベッドに正座で向かい合う俺たちを目にして訝しげに問う。


「クレアか。見ての通り今は取り込み中だ。すまないが、五分ほど外で待っていてくれるか?」


「別にいいけど、何してるの?」


「説教と教育」





   †                    †                    †





 クレアも来ているということで説教の時間は短めにした。エストの気持ち――考え? も分かったことだし、あまり強いことは言わなかったがな。


 現在、俺たちはチーム対抗戦に参加している。相手はランキング上位のウルヴァリン教室のチームだ。チームの人数は五人。一人一人の力量は然程高くはないがそのコンビネーションは驚異的だ。


 試合開始から十五分が経過した。既に相手チームは二人潰してあるため人員差は二対三。予断は許されないが十分に渡り合える数だ。


 薄紫色の霧が立ちこめる深い森の中を慎重に歩を進めていく。


「……クレア、二時の方向、距離十メートルの茂みに待ち伏せが二人いる。警戒を怠るな」


「どうしてわかるの?」


「気配には敏感なんでな。この程度の距離は手に取るようにわかる」


 刹那、丁度視線の先の茂みから青白い雷光弾が放たれた。滑るようにクレアの前に移動した俺は音速で飛来する弾を難なく剣で弾く。


 素手でも同じ芸当は可能だが、こちらの方が容易だな。精霊魔術の対抗性能を備えているためか、エストの精霊魔装はあらゆる魔術を無効にする力があるようだ。


 今のエストの精霊魔装の形態は西洋剣のような形をした、白銀に輝く両刃の剣だ。この状態はかなりの神威を消費するようで俺でも少し疲労感を感じる。恐らく原作のカミトだと良くて
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