第十四話「チーム戦」
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持った人種もいますが、あなたの主は違います」
それを聞いたエスト無表情で膝をもじもじとさせた。
「ニーソを脱いでほしいのですか? リシャルトのえっち……」
「違います」
なぜそこで恥ずかしがるのかがわからない。羞恥心を感じるポイントは精霊と人間ではやはり違うのだろうか。どうやらこの剣精霊にとって素足を見せるのは、物凄く恥ずかしいことらしい。
「とにかく、今後は服を着て寝るように。人前で肌を晒すのは恥ずべき行為だと学習しなさい」
「了解しました、リシャルト」
「よろしい」
エストは不満そうにしながらも、素直に頷く。なんだかんだと素直な子なのだ。
やれやれと、説教タイムを終えてそろそろ支度をしようかと思った時だった。
――ちゅっ。
「――」
完全な不意打ち。まったく避けることが出来なかった。
キスされたと認識した俺は顔に血が上って行くのを感じながら、なんとか口を開く。
「…………エスト?」
「目覚めのキスです、リシャルト」
「――よろしい、説教タイムだ。その前に、なぜキスを……?」
無表情に答えるエストに込み上げる怒りを堪えながら一応理由を尋ねると、予想外な答えが返ってきた。
「ズルいです、不公平です。クレアだけなのですか? 私とはしてくれないのですか?」
「なに? 一体何の――」
ふと脳裏に過ったのはつい最近の出来事。クレアが自分を見失い、契約精霊のスカーレットが暴走した時のことだ。確かにあの時、クレアは――
「……まさか、見ていたのか?」
「はい。私もあそこにいましたから」
「ああ、そういえばそうだったな……」
ガリガリっと頭を掻いた俺はどうしたものかと考える。あの時のクレアのアレは、本人はお礼だと言っていたし事実その通りなのだろう。エストがここまで強情になる理由はないはずだが。
――嫉妬? いや、エストにそういった考えがあるとは思えないし、仮にあってもそんな空気ではない。なら、犬が主を取られたと思うあれか? 自分の主は自分だけのものだという一種の独占欲? それも違う気がする……。
首をひねっているとエストが髪をそっとかきあげた。
「口づけは精霊契約の正式な儀式だと聞きます。ですので、エストも」
目を閉じ唇を尖らせて上を向く。
「待て、それは早計ではないか? 他にも契約方法があるはずでは――」
「私はこの方法しか知りません。私はリシャルトの契約精霊なのですから、正式な手順を踏むべきです」
「いや、その理屈
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