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なりたくないけどチートな勇者
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「ありがとうございます。」

そう言ってセブルさんは頭をあげた。
さっそく自分が彼の勘違いを訂正しようと口を開けかけた、その時

「とりあえず、お嬢様が不幸になるようなら貴方が人間だろうが英雄だろうがなんだろうが私が本気で消しにかかりますので、その事は心にとめて置いてください。」

そうセブルさんは言い放ち、くるりと正面に向き直り、再び歩き出した。
口を半開きにしている自分を置いて。

「どうしましたか?食堂はすぐそこですよ。」

そして何もなかったかのように、自分に向かい言い放った。

………父親、強し。


***********☆


「失礼します、ナルミ様をお連れいたしました。」

そう言ってセブルさんが扉を開き、それに続いて自分も中に入った。

中には、正装に着替えたゼノアと、厳つい顔の歴戦の戦士な雰囲気のマッスルなオッサン。
さらには優雅な奥様と、綺麗なドレスに身を包み真っ赤になっているシルバちゃん。

なぜに真っ赤かは謎ではあるが。

「ご苦労。」

風格のある声で厳ついオッサンがセブルさんにねぎらい(?)の言葉をかける。
それに彼はペコリと一礼した後に、こちらですと自分を席に案内した。

そして席に座ると、その厳ついオッサンが自分に話しかけた。

「ようこそいらっしゃったナルミ君。急な誘いで悪かった。私は現ランドルフ家の当主、ガルク・ランドルフだ。」

堂々とした、いかにも厳しそうな声である。
なんか怖い。

「こちらこそ、自分のような者をお招きいただき、ありがとうございます。」

とりあえず挨拶。
するとガルクさんは満足そうな表情をした。

なんだ、思ったよか普通の人じゃん。

顔は怖いが。

「こちらは私の妻、リリスだ。」

「はじめまして、気軽に“お義母さん”と呼んでいただいて結構よ。」

ぶっ!

「ちょっ!お母様!」

慌てるシルバちゃんにのほほんとしたリリスさん。
リリスさん、完全に遊んでいるな。

まぁ、空気がなんか和やかになったからよしとしよう。
後ろから殺気は感じるが。

「息子達はもう紹介の必要は無いな。いつも世話になっているようで、感謝している。」

とりあえずガルクさんは二人を無視する方向にしたようだ。
実に賢明である。

「いえ、こちらこそいつもお二人にはご迷惑をかけっぱなしで、むしろ自分が助けて貰っている立場です。」

実際自分よりいろいろできるからね、あの二人は。
何たってエリートだし。

他にも二三言の言葉を交わしているうちに、食事が運ばれてきた。
なんか上品な、おフランスのオードブル的な料理が自分の前に鎮座している。

……これは、このお料理様が自
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