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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
終焉
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壊という名の
雑音
(
ノイズ
)
は確実に増していた。
何かを言わなくてはならないと思いつつも、全く言葉が口から出てこない。薄っぺらな脳内国語辞典が、こう言う時だけ恨めしい。
「……………レン」
不意に、マイが声を発した。
「何かマイに言いたいんじゃないの?このままじゃ、待ちくたびれちゃうかも」
くすりと笑うマイを見て、レンの中からやっと言葉が浮かんでくる。
「………僕は───」
「………………………………?」
無言で首を傾げて待ってくれているマイに、とうとうレンは心の奥からの、本音の言葉を発した。
「ずっと一緒にいたい!」
叫んだ後、レンは自分の中にある何かの堰が切れたのをはっきりと感じ取った。
「ずっと一緒に暮らしてッ!」
それは───
「ずっと一緒に笑ってッ!!」
絶対に叶うことなどない───
「ずっと一緒にいたいッ!!」
空しくも、暖かな願い。
そんなことは叫んだ本人だって、どうしようもないくらい分かっている。
この世界から脱した瞬間、自分はまたあの灰色の世界に閉じ込められて、ここでの思い出がいつの日か、同じ灰色に染まっていくことも。
だけど、叫ばずに入られなかった。
そうでもしないと、自分が壊れてしまうから。
ぼろり、とレンの瞳から次々と血が流れ出す。
涙という名のその血は、どこまでも透明で、どこまでも美しかった。
それらは次々と地面に落ちては、消えていく。この世界での思い出のように、消えていく。
無に帰っていく。
全て、帰っていく。
「いやだ………帰りたくない。あそこに戻るくらいなら、死んだほうがいぃ…………」
嗚咽を洩らしながら出た、心の底からの本音。その間も、血という名の涙が、落ちては消えていく。
その体を、ふわりと柔らかな感触が覆った。
マイが抱きついてきた。
一瞬、ホワイトアウトしかけるレンの意識の片隅で、マイの声が聞こえる。
「ありがとう、レン」
幼い響きのその声は、それを皮切りに叫び始めた。
「マイと一緒に暮らしてくれて、ありがとう」
それは───
「マイのわがままを聞いてくれて、ありがとう」
血を吐くような地獄を見てきた───
「マイに付いてきてくれて、ありがとう」
幼くも───
「マイを拾ってくれて、ありがとう」
真っ白な───
「マイと一緒に笑ってくれて、ありがとう」
少女の───
「マイと一緒にいてくれて、ありがとう」
真っ白な───
「いっぱいいっぱい、ありがとう!」
感謝の言葉だった。
「………ぁ………………」
ごォぉぉォォーン!!!という地鳴りの
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