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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epic3力ある青き石。蒼の星に降り注ぎて〜Ace of SwordS〜
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†††Sideルシリオン†††

?―?―?初っ端から回想だ?―?―?

ようやく逃れたと思っていた嫌な運命、女装。そしてそのままの格好で外出。ロングワンピースという服を着て、髪型をストレートから両耳後ろのダブルおさげしただけで、道行く人が私に向ける視線がグッと跳ね上がった。私と一緒に外出できるのが本当に嬉しいらしい上機嫌なはやてに付き添って向かったのは、はやての掛かり付けである海鳴大学病院。

「そや。ルシリオン君。名前どうしようか?」

車椅子のグリップを握って押しているところに、はやてが肩越しに振り向いて訊いてきた。最初は何のことか判らず「名前?」と訊き返してしまったが、すぐに察して問いに答える。

「石田先生には私の愛称で紹介してもらおうと思ってる」

「ルシリオン君の愛称?」

「ああ。ルシル。それが私の愛称だ」

私がまだ幼い頃にゼフィランサス姉様に付けてもらった、大切な宝物の1つだ。変に偽名を使うよりかはボロが出ないはずだ。はやてが「ルシル君、ルシルちゃん・・・」何かを確かめるように何度も私の愛称を呟く。
ルシル君。はやてにそう呼ばれて、改めて親友(はやて)と再会することが出来たんだと思えた。やっぱり嬉しかった。ここ2千年の契約のどれもが殺戮と破壊だった。最後の最後で私の心を癒してくれる世界に訪れることが出来て・・・ああ、しあわ――違う。

「幸せなんて・・・」

「ん? なんか言うたか?」

「ううん。何でもない」

「なあ、ルシリオン君。これからもずっとルシル君って、そう呼んでええかな?」

「あ、ああ、もちろんいいぞ。でも、石田先生の前では・・・」

「ルシルちゃんやね。了解や♪」

「・・・・・・うん」

ダメだ、自分で頼んでおきながら泣きそうだ。海鳴市に来て一週間とせずに私は随分と涙もろくなってしまったようだ。そんな風に病院の待合室に着くまでに口裏合わせしておく。はやての診察の番となり、一緒に診察室に入る。石田先生が笑顔ではやてを招き入れようとデスク上のカルテからこちらに向き直り、

「こんにち――は? え? え? はや――ええ?」

私を見て、石田先生の優しい笑顔が一瞬にして混乱顔になった。まずは「こんにちは石田先生。この子は外国の親戚で・・」はやてが自己紹介の前振り。私ははやてのリクエストに応えてスカートの裾を僅かに摘まみ上げ、

「はじめまして。私、ルシル・セインテスト・フォン・シュゼルヴァロードと申します」

私の愛称であるルシルと名乗る。石田先生に向けている表の顔はニコニコ笑顔だが、心の顔ではもう滝のように涙が流れている。全身鳥肌だよ、こんちくしょー。とにかく口裏わせをした内容を、はやての脚を診ている石田先生に、はやてと一緒に話す。大雑把に説
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