第四十三話
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うものだから、彼女が立ち寄りそうな店を教えてもらい、待ち伏せるより他は無さそうだ。
それから一週間ほど毎日、俺は薬草屋で張り込んでいた。
毎日いろいろ買うものだから気を良くした店主から薬学を教わったりしたものだ。
だが、ディアドラはここでは無く違う場所に現れた。
外見の特徴は他の皆にも伝えていて、特にサークレットのような装身具を付けている人などほとんど見かけない界隈なものだから怪しいと、俺の所にベオウルフが知らせに来てくれた。
どうやら塩の専売業者の所に現れたようで、彼が追跡に残してくれたメンバーは彼女の動勢を捉えており、目立たないように指し示して知らせてくれた。
横顔が見えたが彼女に間違いない。
現在は布や糸を扱う店に居て、品定めをしているようだ。
ここから北西方面の街の出口へと彼らには先回りしてもらい、俺は彼女を尾行した。
無理やり拉致するのも一つの策ではあるが……それではロプトの奴らと変わりはしない、害意は無いし話を聞いてもらいたい、それにその後の関係を考えると荒っぽいことは絶対避けるべきだ。
どうやら買い物は終わったようなのは露店ひしめく市場の品物を見るのをやめ、前だけを見て歩きだしたからだ。
適度な距離を置いて、俺も彼女の後ろに付いて行った。
街外れに近くなると俺の尾行に気が付いたようで彼女は少し速足になった。
それに合わせてすぐに俺は足を早めたりせず少し距離が離れ、仲間の姿も見えるようになってから一気に全速力で距離を詰めた。
ほっと一安心したであろう彼女はしかし、自分の前方から迫ってくる者達のただならぬ気配を察したのか左右を見て後ろを振り返ると、錯乱して暴れ出しそうなところであったが、俺は彼女の手前で跪き
「恐れ入りますが、言上したき儀がございましてまかりこしました。ディアドラ殿下には初めて御意を得ます。それがしはレンスター第二王子ミュアハと申します」
事態を理解できそうにないディアドラさんは呆気にとられていたが
「外の世界の者とは関わらないようにと幼きころより言い遣っています。遠い国の方、せっかくですがすみません……」
「お言葉を返すようでございますが、殿下は市街の者らと商っておいでのご様子。これは果たして殿下のおっしゃる外の世界の関わりとは違いないかと推察されます。一つ禁を破った以上もうひとつふたつ破ったところで差しさわりがございましょうや?」
「……さきほどから私のことを殿下とお呼びですが、お人違いではありませんか?私は時の流れから取り残された里に暮らす者に過ぎません」
少しおびえたようなディアドラの様子であったので、俺は腰の剣をベルトから外して地面に置き、敵意の無いことを示した。
ベオウルフと他数人の仲間も俺に倣って武器を外し、片膝をついて跪いた。
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