GGO編
百十五話 殺人鬼、再来
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、その言葉の意味を反芻し、自問する。
この男の言う事は、はたして自分にとって真実か、否か。
確かに、全てが全て、間違っているとは言い難いだろう。それは先程、自分でも認めた事だ。
あの事件から後、自分の人生の全てが彼女の死を追っていた訳ではない。しかしそれでも、多くの時間を彼女の死を追う事に費やしてきた事は確かだ。
調べ、リョウの存在を知り、彼を見つけ、現実でも出会った時、一瞬たりとも親友の敵討ちを考えなかったと言えば、それは間違いなく嘘になる。
それはつい先刻、ラフコフと彼女の関わりを知った時であれ、同様だ。
実際、今此処で復讐の為にこの男と戦ったとして、誰かに責められる道理は無いだろう。心の脆くなった親友をたぶらかし、あまつさえ殺人に走らせた原因の一旦は(たとえその最終的な選択肢があの時の彼女にあったとしても)間違いなくこの男達に有るのだから。
しかし……
「知ったような事を、言わないでくれるかな」
それを理解して尚、アイリはザザの言葉を、自分への問いを、真っ向から否定した。
復讐に全てを掛けると言う事は、その命を、人生を復讐にささげると言う事であると、アイリは思っている。実際、その認識は間違ってなどいないだろう。しかしそうであるなら……そうでなかったとしても、今の自分は復讐に興味など無いと、はっきりと言い切る事が出来る。
なぜなら、今のアイリには命を掛けるつもりなど無いから。
自分が、今日此処に至るまでに、心から大切に思う友人と、敵の男に言われた言葉。
『行くのは勝手だけど、死なないでよね……』
『お前、死ぬんじゃねぇぞ……──お前に死なれちゃ、俺も困る』
こんな自分に、「死ぬな」と言ってくれたその言葉が、アイリにとっては心から嬉しかった。
あの日から、自分の時間を止め、自分のふがいなさに押しつぶされそうになり、誰にそれを打ち明ける事も出来ず、たった一人で己の存在を罵倒し、疑問視し……たとえ親友の魂に呪い殺されたとしても文句はいえぬと思ってきた少女にとって、自分を想ってくれたその一言一言は、自分の存在に、生きている今この瞬間に、未来を歩みたいと願うこの心に「誰かに望まれている」という“意義”を確認させてくれる、かけがえの無い宝だったからだ。
『ごめん──アイリ』
故に、その言葉にだけは、背を向ける訳には行かない。たとえかつて生きていた親友に、薄情と罵られようと、無責任だと蔑まれようとも……
「(今だけは……)私は……私と、私の友達の為に戦う!」
全ては、死した親友の為でなく、現在を生き、未来へ向かわんとする、自分と、友の命の為に……
『今だけは……!私のわがままを通させて!』
そう強く念じながらアイリは剣をザザに突きつけた
「貴方達に絶対
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