瞬時加速
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、とりあえず今は瞬時加速をものにしないと! ウィルソン代表のとっておきって言うのも気になりますし、今日一日で、必ず!
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「全く、世話のかかる奴だ」
アリーナを後にしたオリヴィアはその唯一の出入り口の扉に背中を預けていた。軍専用ということもありアリーナには防衛上の都合から扉は一つしか存在しておらず、アリーナの天井を開けるか壁を貫く以外に中に入る方法はない。その扉の前で子供を見守る大人のように彼女は微笑んだ。
「おや、ウィルソン代表。用事は済みましたか?」
通りの向こうから聞こえた男の声にオリヴィアは顔を上げ、今までの微笑みを隠すかのように険しい顔つきに変わる。彼女の眼には歩いてくるスーツの男、アーノルド・スミスが映っていた。アーノルドはオリヴィアの前まで来て止まるとニコリと微笑む。
「何か……」
「やめてくださいそんな怖い顔。襲いなんてしませんし襲ったとしても勝てるわけないじゃないですか」
「そうかもしれませんね」
「それで、カスト候補生への用事は終わりましたか? 私の用事に入っても……」
「却下です」
「は?」
「彼女には彼女の今やることがありますので」
「候補生管理官の私にも内緒で、ですか?」
「そうです」
「ふむ……そうですか……」
アーノルドは顎に右手を添えて考え込む。
「ではウィルソン代表の顔を立ててまたの機会にしましょう」
10秒程度考えてからアーノルドは再び笑顔でそう言った。人の警戒心を緩和させるようなその優しい笑顔にもオリヴィアは険しい顔を動かさない。
「スミス候補生管理官。貴方には貴方のやることがあるはずです。今は政府上層部への説明を考えるのが先決では?」
「ええ、ですから襲撃時のことについてカスト候補生に聞きたかったのですが……」
「それについてはそちらで対応すると決まったはずですが」
「それについても詳しい状況の把握は必須でしょう?」
しばらく二人の間で言葉の無い睨み合いが続く。睨み合いと言ってもオリヴィアは変わらず険しい顔をしたままでアーノルドは明るい笑顔を崩さない。その激しい温度差の均衡が崩れるまで5分経った。
「では先ほども言いましたがまたの機会にしましょう」
「ええ、そうして下さい」
「では、カスト候補生によろしくお伝えください」
「ええ、伝えておきます」
アーノルドはそう言うと来た廊下を引き返していった。オリヴィアはアーノルドが角を曲がるのを見送り、建物を出るのをISのセンサーで確認してから懐の携帯電話を取り出す。
「カスト開発局長をお願いします。例の件、と言って頂け
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