瞬時加速
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いお話ですね。
「そう言えば扉の前に見張りの人いらっしゃいませんでした? 何も声が掛からなかったんですけど」
「ああ、ちょっと内密な話をしたくてね。少し外してもらったんだ」
お湯をティーポッドに移して紅茶のティーバッグを入れながらスミスさんに聞きます。内密な話、ですか?
ティーカップを用意して小皿を一緒に机の上に並べ、砂糖を用意している間にスミスさんは箱からイチゴの乗ったショートケーキを取り出して小皿の上に乗せてくれました。紅茶が十分パックから出たところを見計らって机の上にティーポッドを置いてスミスさんの正面に座ります。ポッドの紅茶をカップに注ぎながら私は話を始めます。
「それでお話と言うのは?」
「うん。まあ分かってるとは思うけど君の襲撃後本国の政府上層部では結構な騒ぎでね。そもそも何故襲われたのかって言う理由が見当たらなくて困ってる」
「理由、ですか?」
「うん。いくら君の『デザート・ホーク・カスタム』が第3世代試作機で、もう一機もオリヴィア国家代表の専用機だとしても、もう一機研究所で開発されているものがある。米国の『アラクネ』を奪うような連中だ。狙うなら研究所にある方を狙うはずだ、っていう意見もあってね」
「なるほど……」
「今のところ何とか言いくるめてはいるけど、正直説得する材料が足りなくて困ってるんだ。嫌なことを思い出させるようで悪いけど襲撃時の状況を詳しく教えてくれないかな?」
「はい、それくらいなら全然かまいません」
「そうか、ありがとう。助かるよ」
スミスさんはそう言うとカップに口をつけました。私もそれを見てから紅茶を一口飲みます。うーん、やっぱりパックだと味が……
ケーキと紅茶を片付けてから本題に入ります。スミスさんから別れた後の私の行動、襲撃時の周囲の状況を説明。襲撃者についてはスミスさんが持っていた映像データを見せてもらいながら敵の戦力と私の判断、行動などを伝えていきます。
「ふむ、なるほど。大体分かったよ。ありがとう」
「いえ、スミスさんのお手伝いになるのはこれくらいですから」
「謙遜はよくない。君はよくやってくれているよ」
「ありがとうございます」
素直に感謝の気持ちを伝えます。ただ私の機体が『デザート・ホーク・カスタム』から『デザート・ストーム』に変わったこととだけは伝えていません。会話の最初でスミスさんは『デザート・ホーク・カスタム』と言いましたし、母さんから伝えられていないのでしょう。私が言うのも何か違う気がしますし、黙っておいた方が……
「しかしこれだと説得の材料としては少し弱いかな……カルラちゃん自身何か狙われるような事柄は思いつかないかい?」
「さあ、私も何故襲われたのかなんて見当も……」
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