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スペードの女王
第二幕その二
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プリペーパは俯いて答える。
「それで」
「そうだったの。それはよくないよ」
 ダプニスは言う。
「そういう時は歌おうよ。そして踊ろう」
「けれど今は」
「そういう時だからこそさ」
「そういう時だから?」
「そうだよ。さあ立って」
「あっ」
 プリペーパを立ち上がらせる。そして強引に誘う。
「さあ」
「どうしてなの?」
 プリペーパはダプニスに問う。
「どうして私に声をかけてくれるの」
「君が好きになったからだよ」
 ダプニスはにこやかに笑って答えた。
「だから。さあ」
「え、ええ」
 プリペーパはそれに応えて踊りはじめる。するとそこに何か立派な身なりの男がやって来た。
「おお、これは」
 彼はプリペーパを見て声をあげた。
「何と可愛らしい。ねえ君」
「はい?」
「あっ、君じゃない」
 ダプニスが顔を向けるとぞんざいな返事をした。
「君だよ」
「私ですか?」
「うん。僕はズラトゴール」
「ズラトゴール!?」
「君可愛いね。よかったら僕の彼女にならないかい?」
 そう言って誘ってきた。
「お金はたっぷりあるよ。宝石も」
「ねえプリペーパ」
 ダプニスは負けじとプリペーパに語り掛けた。
「僕はお金も宝石もないけれど情熱があるよ」
「情熱が」
「うん、そうさ」
 ダプニスは答えた。強い声で。

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