第二十六話 少年期H
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、あっさり脱出することができた。そこから抜け出そうとした原因と一緒に。というかどこに行くつもりだよ。暗めの路地にずっといたからか、太陽の光に目が眩む。気づけば俺の周りには、ぽつぽつと人通りが増えていた。
「おい、俺はもう関係ないだろ」
「あるある。エイカを必死に追いかけていたから、俺絶賛迷子中なわけ。……責任とれや」
「横暴だな、おいッ!?」
確かに迷子の原因は俺かもしれないが、強制的すぎるだろ。どこまでマイペースなんだよ、こいつ。言っちゃなんだが、よく俺みたいな子どもと一緒にいられるな。目つきがキツイとか言われたこともあるし、自分でも態度が良いとは思えないんだが。
俺の斜め前に浮かんでいるデバイスも、こいつの考えに異論はないらしい。普通なら俺と一緒にいるマスターを、止めたりするものじゃないのかよ。……ん、デバイス?
「そうだよ。おい、デバイスがあるんだからそれで調べられるだろ」
「えー、いいじゃん」
「よくない」
往生際が悪いと言われても知るか。デバイスは高価で、性能もいいって聞いたことがある。魔法の補助機らしいけど、こいつのデバイスならわけのわからない性能を持っていても俺は驚かない。きっとできる。そう思って俺は視線を向けてみた。
『I’m sorry. I don’t understand』
「お前さっきまで普通に喋っていたよな!?」
「おぉ、さすがは本場の発音」
最初から最後まで俺に味方がいないことを改めて悟った。そんな俺の様子にからからと笑うそいつ。そんな妙に明るい声を聴きながら、その後ろをついていくことしか俺にはできなかった。
そのすぐ後に、もう1回頑張ってみたがスルーされた。むしろ「道案内役が後ろを歩いているのはおかしいだろ!」ってツッコんだことに言質を取られてしまった。せこい、実にせこすぎる。
当たり前のように繋がれた手のひらから感じる……他人の温かさ。乾いた風が吹きすさび肌寒く冷たかった場所に、少しずつ熱が広がっていくようなそんな気がした。
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