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少女1人>リリカルマジカル
第二十六話 少年期H
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いたっておかしくはない。それにナイフだってポケットにあったし、こいつが気絶した俺から取り上げるのは簡単だ。それもなかったということは、こいつの言葉は事実なのだろうと俺は思った。

 ペンダントを眺め、手に握りこんで形を確かめる。そしてどこも壊れていないことに安堵した。拾ってくれたことには素直に感謝する。自身の作ってしまった黒歴史に頭を抱えたくなるが、紛らわしい言い方をしたこいつも悪いと責任転嫁しておく。紐を首に結び直すと、服に擦れて小さな音が響いた。

「あとサンキュー、コーラル。魔法で受け止めてくれて」
『さすがにあの勢いでは、地面に頭を打っていたかもしれませんからねー』

 痛みが激突した頭だけで済んだのは、こいつのデバイスのおかげらしい。単体で魔法発動するってマスターいらねぇじゃん。気づかれなかったみたいだが、さっきの行為は危なかったのかもしれない。マスターを倒しても、デバイスが魔法を放つ。実質1対2だったということだ。…魔導師と戦うのはやっぱり避けるべきだな。

 あぁー、それにしても頭が痛い。俺馬鹿になってないよな? なんだかもう、考えるのも疲れてきた。今日は絶対に厄日だと断言できる。

 俺は軽く頭を振り、ゆっくり立ち上がった。それを見た隣のやつも一緒に立ち上がり、ズボンについていた砂を払っている。こいつの用事も終わったんだし、俺はもう帰っていいよな。

「それじゃあ、もう用はないな。拾ってくれたのはありがとよ」

 そいつに今度こそ背中を向けて、路地裏から出ようと足を踏み出す……が進まない。俺は自分の肩に置かれた手を一瞥し、頬が引きつる。え、まだ何かあるの? 振り払えるが、俺はしぶしぶ動きを止めた。

 今日俺が学んだこと。こいつとの会話はめんどくさいが、まだ被害が少ない。ここまでの行動が裏目に出まくるのは、こいつと俺の思考回路がなんか違うからなのだろう。おとなしくしている方が、まだ疲れないような気がした。


「ちょっと待ってくれないか、ワトソン君」
「いや、誰だよ」
「君でしょ?」
「なんでさ」

 うん、やっぱりこいつわけがわからない。言われたことねぇよ、そんな名前。頼むからお前の常識で会話を進めるのはやめてくれ。世間のこと俺あんまり知らねぇけど、これがミッドの常識だったら俺は今すぐ引き籠るぞ。

「今俺の中では君はワトソン君だ。それとも別の名前にする? 今俺が思い浮かぶ候補としては、スラりん。ゲレゲレ。ドラきち。の3つがあるが」

 マシなのが1つもない。……ここは沈黙が一番だろうか。

「ちなみに俺のおすすめとしてはゲレゲレだ。大魔王もこいつと一緒に戦ったんだ」

 ――まずい、とりあえず何かツッコまないとゲレゲレに決定してしまうッ!?


「お前にあだ名のセンス
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