9部分:第二幕その四
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「これは反乱ではありません」
しかしアビガイッレは言う。
「私が正統な場所に座るだけです」
「しかしそれは」
「愚かな者達よ」
だがここでその場に全てを圧する恐るべき声が鳴り響いた。
「この声は」
「我が愛する兵士達よ」
「お、王よ」
兵士達はその声を聞くだけで畏まってしまった。
「そして神に仕える者達よ。ここは王宮である」
王の紅の衣とマントを身に纏ったナブッコがその場にやってきた。その迫力はアビガイッレをしても太刀打できない程であった。
「お父様・・・・・・」
「くっ・・・・・・」
「娘達よ、常に言っている筈だ」
ナブッコはその場にやってきてフェネーナとアビガイッレに述べた。
「王宮の中で騒ぐことは許さぬと。違ったか」
「それは・・・・・・」
さしものアビガイッレもその威圧感の前に言い返すことは出来なかった。
「違うか?」
「いえ・・・・・・」
止むを得ず頷いてしまった。彼はそれを見届けてから他の者達に対しても言った。
「御前達は今王を前にしているのだ。神をな」
「何とっ」
ザッカーリアはその言葉を聞き逃さなかった。
「王よ」
そして彼に問う。
「今何と言われたか」
「聞こえなかったか、私は神なのだ」
これはバビロニアの信仰からは当然であった。だがザッカーリアにとってはそれは恐るべき不遜であった。
「何と恐ろしいことを」
「神を恐れぬというのか」
ザッカーリアだけでなくヘブライの者達も恐れずにはいられなかった。彼等にとってはまず神があるのであるからだ。その神を恐れぬというのがどれだけ不遜かということである。
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