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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
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のその思考を否定した。
動かないんじゃない、動けないんだ!
晴れてきた土煙。その向こうから姿を現したヴォルティスの体には、二重三重とぶっとい鎖が巻きつけられていた。どこの金属なのだろう。約二年もの間、このアインクラッドを調べつくしたと言っても過言ではないキリトでも、その鎖の光沢のある漆黒の金属の固有名は記憶になかった。
それの効果なのだろうか。先ほどまで、眩いほどに光り輝いていたヴォルティスの白銀の過剰光は、今は勢いを衰えている。
「……ぐ………」
しかし、彼は笑っていた。苦しげにうめき声を洩らす、そんな状況の中でも彼は笑っていた。
不敵に、獰猛に、喰い殺さんばかりに。
その視線の先にあるモノをキリトが視認する前に、腕の中のアスナが震える声を発した。
「き、キリト…くん……。……あれ…………」
震えるアスナの人差し指が指差した先を見、キリトは絶句した。
それは、気配。
血塗られた、禍々しくも美しい殺気。
そこまで知覚したキリトは、咄嗟に顔を伏せた。もちろん、腕の中にいたアスナも。攻略組全員でさえも。
意図してやったわけではない。当たり前だ。こんな死地のど真ん中みたいな場所で、誰が好き好んで首を差し出すと言うのか。
だからそれは、本能的なものだ。生物として求められる、最も初歩的にしてもっとも生き残るために大切なこと。
すなわち、危機回避力。
生物は、明らかに自分より強いものには、本能的に畏怖を感じる。それは別に臆病とか、そういうのではない。ただ単純に生き残りたいがために備えられたものだ。
その時、キリトが本能的に思ったことは恐らく、攻略全員が思ったことであろう。
眼が合えば、殺される。
キリトとアスナの眼前にいたレンの、薄く研ぎ澄まされた氷の刃のような先刻までの殺気はかけらも残っていなかった。そこにあったのは、ただ純粋な殺意。善と悪もない、純粋な殺意。人間がいたることは決してないと断言できる、そんな殺意。
それを見てキリトは思った。
本当に怖いのは怒りさえも超越した人間なのだ、と。
『ho;dgf,hsa\\fg死ae/fg.tuae:@gfnvnネargtrmy\,』
そして、ソレが《喋った》。
とても人間には理解不能な言葉だったが、その意味は全員の脳髄の奥深くまで浸透した。アレは言ったのだ、はっきりと。
お前を殺す、と。
その《言葉》が空気の中に吐き出されると同時に、レンの顔部分を覆っていた黒いスライムのようなものがずるりと動いた。
そしてそこから現れたのは、生気のないレンの顔。だが異様に、真紅に輝くその眼だけがぎらついていた。
その異様な姿を見、茅場はすぐさま動いていた。左手を振り、現れた
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