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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
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がついているかのように、倒れていた体勢のまますいーっと音もなく起き上がったのだ。
壮絶な違和感。
まるで倒れた時の映像の逆再生を見ているような気分になった。
腕の中のアスナも同じようなことを思っていたのか、体が強張る。
そんなキリトとアスナの眼前で唐突に、突然にレンの服が───
溶けた。
なくなったとかではない。ポリゴンの欠片となって四散したわけでもない。固体が液体になるように、どろっと溶けたのだ。血色のフードコートは同色の半固体状となってレンの体に纏わりつく。
艶やかな漆黒のロングマフラーは、同じように半固体状でレンの頭の部分に絡まる。
そしてそれらは、服装で隠されていなかったレンの生身の部分を全て覆い隠した。
だが、レンの輪郭だけはかろうじて留まっている。
それは、異常な光景だった。
そのレンの以上に感化されたように、戦況にも変化が訪れた。それも、最悪の変化が。
戦闘の最中、何かを呟いていた茅場はさっと顔を上げると同時に声高に叫んだ。
「Wearing Enhanced Armament《THE STRIFE》!!」
滑らかな英語発声の後、茅場の巨剣とヴォルティスのハンマーもどきの間の空間が不自然に揺らいだ。歪んだ、と言ってもいいほどに。
その空間を割るようにして現れたのは、まるで巨大なエメラルドの原石を削りだしたかのような、ひときわ純粋なグリーンに輝く──盾だった。
巨大だ。身長二メートルを誇る巨漢のヴォルティスの等身大ほどもある。
そして、周囲の空間を歪めるほどのプライオリティ。ノーマルな装備には決して与えられない強さが見て取れる。
そして、その盾は引き寄せられるかのように、茅場の開いている左手に収まる。
その瞬間、止まっていた時が動き出した。
空中でスローになっていたヴォルティスの得物は、再び強靭で強大な殺意を振りまきながら茅場に迫る。
だが茅場の表情は、先ほどの焦りとも取れない表情から完全に脱却していた。
極めて冷静な表情で、茅場はその軌道上に、新しく手にしたグリーンの盾を置く。
その表面にハンマーが触れ、そして───
ゴッ!!!
これまでとは比べ物にならない衝撃波が、キリトを含めた攻略組全員を襲った。
大半は麻痺に掛かったままなので、なす術もなく床を軽くバウンドしながら転がっていく。
轟音が轟き、キリトから見ての側面の壁がとうとう崩壊した。ぽっかりと口を開けたそこから見えるのは、眼下。アインクラッド第七十五層。
漂う粉塵の中、一人立ち上がったのは巨剣と盾を装備したヒースクリフのほうだった。ヴォルティスはと言えば、彼の足元に倒れ伏せてピクリとも動かない。
いや、とキリトは自ら
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